全国に誇る加東市産山田錦

更新日:2023年12月25日

加東市産山田錦の誕生の歴史

   大正12年に県立農事試験場で山田穂を母、短稈渡船を父とした人工交配を行い、昭和6年に山田錦の母体である「山渡50-7」の系統名を持つ新品種が誕生しました。当時、加東郡福田村沢部(現加東市沢部)に設けられた酒米試験地において、藤川禎次氏の指導の下、他品種との比較試験が繰り返され、「山渡50-7」が最も優れた品種であることが実証されました。

   藤川氏は酒米の研究が確立されていない中で、耐病性や収量など品種ごとの比較試験や、肥料、日照条件に関する栽培試験を地道に取り組み続け、その結果誕生した酒米は、昭和11年に「山田錦」と命名され、兵庫県の酒米奨励品種に指定されました。

   藤川氏が亡くなった後、日本酒の品質を競う「全国新酒鑑評会」では山田錦を使用した酒が次々金賞を受賞し、山田錦の名声が高まりました。

   山田錦が誕生して80年以上が経過するも、山田錦の育ての親である藤川氏の意思と功績は現在も脈々と受け継がれ、山田錦から作られる日本酒は香りがよく、豊かなコクがあることから、日本一の酒米として、今もなお全国の愛飲家を魅了し続けています。

 

 

山田錦の玄米

山田錦の玄米

精米された山田錦

精米された山田錦

藤川氏

藤川禎次氏

加東市産山田錦を育む環境

   山田錦を栽培するうえで、東西にひらけた山間地で、昼夜の寒暖差が大きく、粘土質で水はけのよい階段状のいわゆる棚田地帯が好適地とされています。

   加東市はこれらの条件を備えた土地が多く存在しており、山田錦の生産が盛んに行われています。また、加東市は市内の多くが山田錦の産地の格付けで最上である「特A地区」に指定されており、最高品質の山田錦の産地となっています。

   一方、山田錦は長稈であるため大雨や、台風により倒伏しやすく、熟期前に倒伏すると、粒は細く、心白が少なくなるなど、栽培管理が難しい品種となっています。

   現在、全国の総生産量の約6割が兵庫県で生産されていますが、特に加東市で栽培された山田錦は高品質であり、各地の酒造会社が誇る名酒が誕生しています。

特A地区

加東市の特A地区

出荷実績

全国への出荷実績

加東市産山田錦にかける生産者の思い

   私は、父の農業者年金受給を機に、本格的に山田錦栽培に取り組みました。父は、農業についてあまり教えてくれる人ではなかったので、農協が発行している稲作暦や近所の方の作業を参考に苗作り、田植え、中干し、穂肥、そして収穫までを独習しました。山田錦は、病気や害虫に弱く、草丈が長いため倒れやすいので、コンバインでの刈取りも大変で非常に作りにくい酒米でした。日々、倒伏しない山田錦は作れないものかと考え、農協に相談したり、近所の生産者の方に尋ねたりもしましたが、やはり、失敗を繰り返しながら自分で研究するしか他に方法がありませんでした。私がまず着手したのは土作りです。圃場整備が完了し、農地の地力が落ちていると考えたからです。次に、圃場毎に施肥量を変える、特に穂肥に気をつけて栽培しました。その結果、自分では満足できる山田錦を収穫することができました。しかし、特上(最上級ランク)を受賞するには至りませんでした。

   どうすれば特上を受賞することができるのかと考えたり、他方では農業経営を考えると質より量を選ぶべきなのかと迷ったこともありました。悩んだ末に「良質米を生産しよう」との結論に至りました。これが特A地区山田錦に相応しいと思ったからです。作りにくい山田錦を私は今後も作っていきます。そして、自分が生産した山田錦がどこの酒蔵へ出荷され、出来上がったお酒の銘柄は何といい、どんな味で、どのような評価を受けているのかを知ることは、やはり、生産者の意欲向上のため、大事なことだと思います。私は、特A地区の加東市産山田錦を生産しているという誇りを胸に、これからも山田錦栽培に取り組んでまいります。

加東酒米振興会会長 岸本 惠司

日本の酒から世界のSAKEへ

   現在、世界的な日本食ブームとともに日本酒の認知度も高まっています。

   世界各国で醸造されているワインは、寝かせることで成熟度のピークを迎え、豊かな香りやコクを生み出しますが、日本酒は出来た瞬間から酒米の持つ最高のポテンシャルが引き出されており、ピュアで控えめな香りとほどよいフルーティさを兼ねそろえていることから、このバランスの良さが和食だけではなく、様々な料理に合うと注目されています。

   日本の長い歴史の中で愛されてきた「日本酒」は、今や「JAPANESE SAKE」として国境を越えて世界で愛されるブランドとなりつつあります。和食ブームに伴い日本酒の輸出は増加傾向にあり、ワインの原料となるブドウといえば「フランス・ボルドー地域」、酒米といえば「兵庫県加東市」となるよう、加東市産山田錦の認知度の向上を目指しています。


 

 

日本酒輸出量の推移
日本酒輸出額の推移

「出典」

農林水産省「日本酒をめぐる状況(令和5年9月)」

https://www.maff.go.jp/j/seisaku_tokatu/kikaku/attach/pdf/sake-7.pdf

山田錦に関するリンク集

 

この記事に関するお問い合わせ先

加東市 産業振興部 農政課
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電話番号:0795-43-0518
ファックス:0795-43-0552
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