平成25年度施政方針

更新日:2016年03月20日

山よし!技よし!文化よし!

夢がきらめく☆元気なまち 加東

加東市長 安田正義

施政方針(要旨)

(1) はじめに

 平成25年度の予算並びに諸議案のご審議にあわせて、私の市政に対する所信の一端を申し述べ、議員並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 私が市政の重責を担わせていただいてから、はや4年目を迎えようとしています。

  これまで、市民の皆さまからの信頼と期待に応えるため、まちの将来像「山よし!技よし!文化よし! 夢がきらめく☆元気なまち 加東」の実現に向け、様々な重要課題に全力で取り組んできました。

 平成24年を振り返りますと、山中伸弥医学博士のノーベル生理学・医学賞受賞や、自立式電波塔では世界一の高さとなる東京スカイツリーの完成、オリンピックでの日本選手の活躍など、日本の技術、研究の高さを世界に知らしめるという明るい話題が記憶に残ります。中でも、スポーツの祭典であるオリンピックでは、日本は史上最多となる38個のメダルを獲得し、その戦いぶりは私たちに夢と感動を与えてくれるものでした。

 一方、日本経済に目を向けますと、緩やかな回復基調を示していた日本経済も世界景気の減速等の影響により、昨年末には景気回復の基調も弱まり、長引くデフレ不況から未だ脱却しきれていない状況です。

  このような中、昨年末の衆議院議員総選挙により誕生した自民党政権は、経済再生を我が国の最大かつ喫緊の課題として捉え、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」で、経済再生が強力に推し進められているところです。その期待感からか為替は円安に進み、また株価も上昇を見せるなど、今後の経済動向に多くの国民が期待を寄せています。

 市としましても、これまで取り組んできた事業に着実に取り組み、確かな歩みを進めていかなければなりません。

  昨年には、国道372号バイパスが全面開通し、南北に走る国道175号とともに北播磨地域の経済を支える重要な道路が交差する交通の要衝として、加東市の重要性がさらに高まったと捉えています。また、市内の工業団地には多くの企業が進出しており、地元企業を合わせた製造品出荷額等はここ数年、北播磨地域第1位を誇っています。

  これらは、先人の努力の賜物であり、このような加東市の資源を有効活用し、次へのステップとして新たなまちづくりに取り組む必要があります。

 平成25年度は、「総合計画・後期基本計画」の初年度に当たります。この1年を飛躍の年に位置付け、引き続き、行財政改革を柱とするとともに、市民や事業者などと新たなパートナーシップを構築し、

一、学びと育みの機会づくり
一、安全、安心のまちづくり
一、元気な明日への基盤づくり

の3つのまちづくり戦略に基づいて、創造的な施策や事務事業を展開することにより、「人口の流入と定住化を進め、支えあいと活力のある社会」の実現を目指したまちづくりを、さらに推進していくこととします。

(2) 3つのまちづくり戦略と確かな行政経営

1: 3つのまちづくり戦略

まず、一つ目のまちづくり戦略は、「学びと育みの機会づくり」です。

 加東市は、地震発生時の児童・生徒の安全と近隣住民の避難場所を確保するため、学校施設の耐震化を最優先事項として安全、安心な学校づくりを進め、平成22年度に耐震化を完了しました。しかし、近年の大規模な地震では、建物本体である構造物の被害が軽微な場合でも、天井材が落下するなど、いわゆる「非構造部材」の被害が発生しています。「非構造部材」の被害は、人的被害だけではなく、避難場所としての機能を損なう可能性もあるため、「非構造部材」の耐震化対策を順次行っていきます。

 学習効率の向上を目指して取り組んだ幼稚園、小・中学校での空調設備の設置が完了し、年々学習環境が充実してきているところですが、生活様式の変化に伴い、トイレの洋式化が課題となってきています。これまで社中学校の屋外トイレ改修をはじめとした学校施設の改修にあわせて実施し、現在3割以上のトイレの洋式化を完了していますが、今後さらに取組を進めます。平成25年度は、滝野東小学校のトイレ洋式化に向けた実施設計を行います。また、東条中学校のバリアフリー化工事のほか、各学校の老朽化した施設の改修などを計画的に実施し、質の高い教育環境を整えるとともに、今後は教育そのものの充実に力点をシフトして取り組んでいくことが重要であると考えています。

 平成25年度は、「加東市教育振興基本計画」に掲げた基本目標「学びから新しい自分づくりと地域づくりをめざす加東市に!」の実現に向けて、人間力の育成と学校教育及び社会教育を重点に、「学びと育みの機会づくり」をまちづくり戦略の一つの柱として、引き続き推進していきます。

 学校教育では、平成24年度をもって小・中学校ともに新学習指導要領への移行が完了しました。学校で学ぶべき内容が増え、移行前に比べて週1コマ程度授業時間数が増加する中ではありますが、学校、家庭、地域がさらに一体となることで「確かな学力の定着」、「思いやりや命を大切にする豊かな人間性の醸成」、「健やかな体の育成」に取り組んでいきます。
  また、学校評価結果を活用して学校運営を改善するとともに、オープンスクールや積極的な情報公開により、地域に開かれた信頼される学校づくりを目指します。

 青少年の健全育成では、関係機関等との連携により、非行防止のための補導、環境浄化、啓発、相談活動に努めます。また、登下校等の安全を守る見守り活動や防犯教室を開催し、安全、安心な地域づくりを推進します。
  とりわけ、ネット犯罪から子どもを守る対策として、各学校における児童・生徒・保護者を対象とした「インターネットの利用に対する学習会」や教員向けの研修会を開催します。また、市内各所への「ネット見守りのぼり旗」の設置やネット見守り監視活動の強化など、「加東市ネット見守り隊」の充実に努めます。

 社会教育では、地域、学校、家庭が連携し、市民が年齢や体力に応じて「いつでも、どこでも、気軽に」学習機会を得ることができる、また、その結果を活かせる機会や場を提供できるように、生涯学習環境の充実に努めます。
  公民館や体育施設の登録サークル、文化・スポーツ団体、そして、社会教育団体の育成に努めるとともに、公募美術展や文化祭、コンサートなどの文化事業やスポーツ大会の開催を通じて文化・スポーツの振興に努めていきます。

 人権教育、人権啓発では、市民一人ひとりの人権が尊重される自由で平等な社会づくりに向けて、「加東市人権尊重のまちづくり基本計画」及び「加東市男女共同参画プラン」に基づき施策を展開し、「加東市男女共同参画プラン」については、5年間の点検・評価を踏まえプランを見直します。
  そして、様々な人権問題を明らかにしながら、「人のつながり」を推進するとともに、誰もが気軽に集い相談できる体制づくりを進めます。

二つ目のまちづくり戦略は、「安全、安心のまちづくり」です。

 昨年は、梅雨前線による大雨や台風により道路、農地への被害があったものの、人的被害などの大きな被害はありませんでした。しかしながら、本市においても1時間雨量が49ミリメートルという局地的な豪雨が発生し、安全、安心のまちづくりへの更なる取組が必要となっています。

 そのような中、防災・減災対策では、東日本大震災を踏まえた兵庫県の地震被害想定の見直しに沿って、「地域防災計画」の見直しに取り組んでいます。平成25年度においても、引き続き所要の修正を行うとともに、新庁舎の完成に伴い「災害対策職員初動マニュアル」を修正し、防災対策に当たります。
  そして、被害を最小限に抑えるためには、行政や常備消防だけでなく消防団や自主防災組織を強化し、地域の自助・共助による総合的な防災力を高めていく必要があることから、防災意識の高揚とともに、学校や自主防災組織の合同防災訓練などの取組を支援していきます。
  また、災害時要援護者の支援に係る地域の連携については、地域ぐるみの防災訓練などの機会を通じて働きかけていきます。そして、新たな地震被害想定などに基づいて、防災備蓄資材を計画的に充実していきます。
  加えて、かとう安全安心ネットなどのメール配信や、ケーブルテレビなどを活用して様々な情報を的確に提供していきます。
  中でも、ケーブルテレビについては、社、東条地域で運用しています告知放送受信機を滝野地域においても整備するとともに、兵庫県の土砂災害情報通報システムの情報を放送するなど、市民への情報提供体制を確立し、安全、安心のまちづくりをより一層推進します。

 北はりま消防組合が発足して2年が経過しようとしていますが、この間、消防組織体制の充実強化に努め、大規模災害等に対する施設整備、活動体制の強化と事務処理の効率化を進めてきました。築後40年以上を経過している加東消防署の整備に向けた具体的な計画を策定するため、基本設計の前段階としての調査費を予算計上するなど、北はりま消防組合による新たな防災拠点の整備に着手します。
  また、2か年計画で整備を進めています消防救急無線のデジタル化と通信指令施設の工事が平成25年度末に完了する予定です。119番通報が一本化され、組合で統制のとれた運用が平成26年度に開始します。

 交通安全対策では、国道372号バイパスの開通に伴い、大型車両をはじめとした通行車両の増加が見込まれるため、これまで取り組んできた交通安全教室を充実させるとともに、重大な事故を引き起こす飲酒運転の根絶を目指した啓発活動等を、交通安全対策委員会や警察、交通安全協会と連携し、より積極的に展開していきます。

 地域の防犯対策では、依然として車上狙いや夜間の事務所荒らしが発生するとともに、声かけ事案なども多発しています。昨年の学生フェスタでの要望も踏まえ、通学路などに環境に配慮したLED防犯灯の設置や付替えを進めます。また、地域主体の防犯パトロールや見守り活動など、地域ぐるみの防犯活動を推進し、犯罪のない安全なまちを目指していきます。

 近年、空き家などの不完全な管理によって、建物の倒壊や不法侵入といった防災・防犯上の問題が生じています。加えて、周辺の生活環境を悪化させる恐れがあることから、これらの諸問題に対応するため、「加東市空き家等の適正な管理及び有効な活用に関する条例」を新たに制定し、安全で安心な生活環境を確保するとともに、空き家等の有効活用に取り組みます。

 私たちを取り巻く環境問題は、地球温暖化をはじめとする地球規模の環境問題へと変化しています。市では「加東市環境基本計画及び行動方針」に基づき、太陽光発電システムへの補助を継続実施するほか、次代を担う子どもたちへの環境学習を充実させ、環境に配慮した持続可能な地域づくりの形成に努めます。

 次に、健康増進、健康づくり事業では、市民運動として定着してきた「サンサンチャレンジ」を引き続き実施し、気軽に楽しく取り組める健康づくりの機会を提供することにより、心臓疾患や脳血管障害、糖尿病をはじめとした生活習慣病の予防に取り組みます。
  さらに、市民全体の健康づくり運動へと発展させるために、サンサンサポーターの育成に取り組み、生活の質の向上と豊かな人生を応援していきます。

 また、「加東市健康増進計画」の計画期間が平成26年度末で終了することから、次期計画の策定に取り組みます。平成25年度は、健康増進法に基づく「健康日本21(第2次)」推進のためのアンケート調査を実施し、健康づくりにかかる課題の抽出を行います。

 子育て支援では、「加東市次世代育成支援行動計画」の重点的な取組の一つである病児保育の実施に向け、関係機関との調整を行います。また、引き続き、休日保育、延長保育、一時預り保育に取り組むとともに、アフタースクールの運営やファミリーサポートセンター事業、児童館におけるひろば事業等をさらに充実させることで、母親等の就労や育児中の家庭に対する支援を強化します。

 子育て支援施策の充実として平成25年1月から実施しています義務教育終了までの子どもの医療費の無料化については、引き続き実施し、子育てにかかわる経済的負担の軽減に努めます。
  また、低体重で出生したことにより入院医療が必要となった乳児は、母子保健法に基づく「養育医療」の対象となり、これまでは所得に応じて医療費の一部負担が必要とされていましたが、平成25年度からはその事務が市へ移譲されることから、一部負担をなくして利用しやすく改善します。

 高齢者や障害者福祉では、福祉関係団体やボランティアの方々と連携して、地域福祉の充実と質の向上を目指すとともに、引き続き障害のある人に対して、民間事業所等も含めた就労機会の場の提供による就労体験を通して社会との交流を促進し、就労へのきっかけづくりとするなど、その日常生活や社会生活を総合的に支援していきます。

 発達障害等の要支援児童に対しては、早期の療育や支援により、多くの生活能力を獲得できるため、特に早期発見、早期支援が重要になっています。
  また、支援に当たっては、保健、医療、福祉、就労だけでなく、保育所や幼稚園、小・中学校等教育関係部署で関わる従事者が発達障害を理解し、各ライフステージに応じた切れ目のない支援が必要なことから、そのツールとなるサポートファイルを充実させ、「幼児期から就労まで」を視野に入れた支援体制を構築していきます。

 加東市民病院は、現在常勤医師14名体制の厳しい状況となっていますが、引き続き医師確保に努めながら、可能な限り救急体制を維持するなど市民の皆さまが安心できる医療を提供し、特別な検査や手術など専門医師が不足する部分については、近隣の医療機関と連携をとり、さらに高度な医療が必要なときは、専門病院等へ橋渡しができる体制を構築していきます。また、近隣医療機関との相互応援協定を締結し、医師の相互派遣による診療体制の拡充を積極的に進めます。
  この病院の規模・特性を活かし、地域の中核的な役割を担いつつ、保健医療圏域全体で医療を提供する「地域完結型医療」の実現に努めます。
  なお、検討を進めていました経営形態の見直しについては、昨年4月からの新院長体制での経営改善の取組の効果や経営健全化基本計画評価委員会の協議の結果を踏まえ、当面の間は財務規定のみを適用する地方公営企業法一部適用を継続しながら、引き続き最適な経営形態の検討を行っていきます。

 介護支援を必要とする高齢者が年々増加している中で、病院組織の一部であるケアホームかとうは、介護老人保健施設として他の介護保険サービス事業所等との連携を密にして、利用者や家族が安心して生活ができるよう介護やリハビリなど質の高いサービスの提供に取り組みます。また、施設の環境改善に努めます。

三つ目のまちづくり戦略は、「元気な明日への基盤づくり」です。

 国の経済見通しでは、「平成25年度の我が国経済は、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、『平成25年度の経済財政運営の基本的態度』に示された施策の推進等により、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれ、国内需要主導で回復が進む。」と示されています。しかしながら、先行きのリスクとして「欧州の政府債務問題等、海外経済を巡る不確実性、為替市場の動向、電力供給の制約等」が挙げられ、特に国際環境の変化による不安を抱えたものでもあります。

 市では、市の経済の現状と課題を分析し、直ちに実行すべき施策の提案や、中・長期的な指針となる経済戦略などを取りまとめた「加東市地域経済活性化基本計画」を平成24年3月に策定し、平成24年度を実践初年度として強力に進めてきました。経営革新計画作成のサポートにより、地元企業17社が県知事の承認を受けたことや、道の駅とうじょうでの農産物直売所の整備によって、地元農産物の販売強化及び消費拡大につながったことなどの成果をあげることができました。引き続き、積極的に事業を展開し、地域経済の活性化に取り組んでいきます。

 また、市内工業団地には47社が進出しており、新たな企業の進出は地域経済の活性化や雇用機会の創出、そして自主財源(税収)の確保など、まちに活力を与えてくれます。今後も、ひょうご東条ニュータウンインターパークはもとより、市内の空き物件についても利用を促進し、新たな企業の誘致に努めます。さらに、経済情勢の悪化が懸念される中、企業への操業継続支援にも取り組まなければなりません。

 農業振興では、人と農地の問題解決に向けた担い手の確保や農地の集約などにより、効率的で収益性の高い農業の確立を目指した取組を進めます。また、地元農産物の直売所を活用した育成や農商工連携、6次産業化につながる取組を進めるなど、地域農業の活性化を目指します。
  合併以来課題となっていました社、滝野、東条の3地域間の米の生産調整については、昨年9月に加東市農業再生協議会で決定された調整方針に基づき進めていきます。

 一方、農業の基盤となる土地改良施設の保全管理については、農業就業者の高齢化及び後継者不足等に伴い、適切な管理が困難となってきていることから、地域住民が共同で行う土地改良施設の保全活動や、「農地・水保全管理支払交付金事業」を活用した施設の長寿命化のための取組を引き続き支援し、農村環境の向上に努めるとともに、地域活動の定着化を図ります。

 加東市の誇りである酒造好適米「山田錦」については、地域資源としての更なるブランド化や情報発信などの取組とあわせて、生産農家の加東市産山田錦に対する価値観の醸成や生産意識の向上、販路拡大を目指した取組を、加東酒米振興会、加東酒米部会をはじめ、JAみのり、酒造メーカーとの連携により進めていきます。

 観光分野では、市観光協会と連携し、加東市の豊かな観光資源を活かした事業展開を強力に進めるとともに、市外へのイベント等に積極的に参画するなど、市外へ向けた観光発信を進め、加東市の観光振興につなげたいと考えています。

 ケーブルテレビは情報発信の拠点として、地域に密着した情報を放送しています。
  行政からのお知らせや生活に役立つ情報、地域の行事、各種団体からのお知らせなどの情報を発信することにより、より豊かに生活できるまちを目指します。
  特に、滝野地域に整備する告知放送受信機は、緊急告知とともに地域の情報伝達手段としての役割を担います。

 快適で安全な住環境整備では、都市機能を備えた魅力ある基盤整備を進めていきます。
  道路整備については、市民の暮らしや経済を支える道路ネットワークの構築、バリアフリー化やユニバーサルデザインを考慮しつつ、災害に強いまちづくりなど利便性・快適性・安全性を高めた道路整備を計画的に進めます。

2:行財政改革を柱とした確かな行政経営

 これら3つのまちづくり戦略に基づいた施策や事務事業を、効率的かつ効果的に展開していくためには、引き続き行財政改革を柱として、行政を経営する視点が必要不可欠です。

 そういった意味からも、最終年度を迎える第2次行財政改革については、歩みを緩めることなく取り組んでいかなければなりません。

 まず、財政運営については、地域の厳しい経済情勢が長期化していることから、市税が減収見込みとなり、地方譲与税をはじめ交付金等の依存財源も減額となる見込みです。また、合併団体としての地方交付税の財政優遇措置も、平成28年度から段階的に減額されることから、市民のニーズに合致したサービスを展開しながら、着実に歳出予算規模の縮減を進め、しっかりとした財政基盤を確立することが喫緊の課題であると認識しています。

 厳しい財政状況の中で、新たな自主財源の確保として、有料広告の掲載やふるさと納税(寄附金税額控除)の推進などに引き続き、取り組んでいきます。

 平成25年度から5か年間のまちづくりの指針となる「総合計画・後期基本計画」については、計画案を今定例会に上程しているところです。
  後期基本計画は、前期基本計画の成果を踏まえ、「市の将来像を実現するための行政経営計画」として成果を評価・検証できる指標を新たに設定するとともに、「市民と協働で進めるまちづくり計画」として市の取組だけでなく、「自助」「共助」の視点を加えた、これまでの計画からステップアップした計画としています。
  そして、計画の実行性を確保するために、市民の代表者をはじめ学識経験者などによる外部組織「まちづくり推進市民会議(仮称)」を新たに設置し、総合計画に基づいたまちづくりを評価・検証いただくことで、「成果が見える」また「成果を実感できる」まちづくりにつなげていきたいと考えています。

 なお、平成23年度から実施した事業仕分けは、市が実施している事業について一旦立ち止まって成果を見つめ直す機会が持てたこと、また、市民の皆さまに対する説明責任や職員のスキルアップで一定の成果があったことから、平成24年度で終了することとしました。

 第2次行財政改革の最重要課題に位置付けている公共施設の適正化については、作成した「公共施設マネジメント白書」に基づき、新庁舎の完成に伴う空き庁舎の活用、また、懸案となっている県有地の活用方策の検討とあわせて、取り組んでいきます。

 市の主要な自主財源である市税は、平成24年度から全税目で可能となったコンビニ収納や口座振替制度の普及啓発を進めるとともに、納税意識の高揚や納税相談を充実させることで納期内納付を引き続き推進します。
  また、滞納対策では、強化月間を設定し滞納処分の強化を図るとともに、県と連携して個人住民税の特別徴収を推進することで収納率の向上を目指します。加えて兵庫県住民税等整理回収チームの派遣等で蓄積した徴収技能を基に、税務課職員が市税以外の市の債権(徴収金)担当課に対し実地支援を行うなど、徴収技能を共有します。

 市職員の定員管理では、第2次定員適正化計画に基づき、年齢構成の平準化に向けた積極的な採用を引き続き行っていきます。さらに、年齢の平準化とあわせて専門職種の計画的な採用、適正な配置に取り組み、持続可能で安定した市民サービスを提供できる組織づくりに努めます。

 市民満足度向上に繋げる人材育成の取組として、実績考課の対象者を副課長、専門員に拡大し、業務管理、組織目標など組織マネジメントの向上を図ります。特に、専門員への実績考課導入、処遇への反映により、専門員がこれまで培ってきた知識、経験、技能をより大きな成果に繋げることを目指します。
  また、2年目を迎える役職定年制度及びジョブ・ローテーション制度を効率的に運用し、より一層の組織の活性化に努めます。

 入札制度については、公平で透明性の高い入札制度を運用し、市内業者の大規模事業への入札参加機会及び受注機会の拡大に努めます。
  また、業務委託及び建設工事等の契約後の進捗状況及び完了確認については専門員等を引き続いて配置し、管理体制を強化します。

 公会計の財務書類4表については、引き続き段階的に内容を整備し、行政経営に反映させる仕組みづくりに取り組みます。また、決算状況等の公表については、見て分かりやすい資料作成に努めます。

 窓口サービスについては、住民基本台帳法の改正に伴う制度変更に適切に対応し、より一層の充実に努めます。また、大災害等に備えて市が管理する戸籍データを、国が管理する戸籍副本データ管理システムにも保存し、戸籍データの安全管理に努めます。

 庁舎統合整備については、平成25年12月末の新庁舎完成に向けて、順調に工事が進んでいます。
  新庁舎完成後は、外構工事とあわせて、段階的に行政機能を移転し、平成26年2月下旬にサービスを開始する予定です。
  新庁舎には、総合窓口を設置するとともに、各部署を効率的に配置し、また、来庁者を迅速、かつ、円滑に、その目的とされる担当までご案内するシステムを構築して、より質の高い市民サービスの継続的な提供と更なる行政効率の向上に努めます。
  一方で、旧3庁舎の活用については、社庁舎は3階建て部分を解体し駐車場として、平屋部分は建物の状態を調査したうえで、市民が利用できる施設として再生することも含め、検討していきます。
  滝野庁舎は、2階、3階部分を北はりま消防本部として活用しますが、1階部分については、市民の防災意識の高揚を図る施設としての活用を検討していきます。
  東条庁舎は、老朽化が著しい本館及び車庫棟を解体し、当分の間、駐車場とします。また、新館及び別館は地域の防災拠点や市民が利用できる施設として検討を進めます。

3:新たなパートナーシップの構築(新しい協働)

 3つのまちづくり戦略を展開していくためには、行財政改革を柱とした確かな行政経営だけでなく、市民の皆さまをはじめとした各種団体や事業者などとの連携や協力が必要不可欠です。このことから、新たなパートナーシップの構築に取り組み、まちづくりの様々な場面での参画と協働を、これまで以上に進めていかなければならないと考えています。

 まず、住民自治の取組では、市内の小・中学校区における自治会が中心となった住民自治組織の活動が軌道に乗り、それぞれ活発な活動が行われています。
  その中で、兵庫県の県民交流広場事業の補助金助成期間が終了した組織に対しては、地域住民のふれあいの場となる様々な事業が引き続き実施されるように、市のまちづくり活動費補助金を増額し、その主体的な活動を支援していきます。

 また、まちづくり活動費補助金の応募活動に係る補助事業は、市民主体による種々のまちづくり活動を促進するため、より一層の補助制度活用に向けて、制度の周知を継続していきます。
  そして、応募団体等による活動発表会の開催などを通じて、その活動成果を広くPRしていきます。

 さらに、一人ひとりがまちづくりの主役であることを認識し、明るく住みよいまちづくりを進めていくためには、加東市民憲章の推進は不可欠です。市民の皆さまに親しんでもらえるよう、引き続きその啓発に努めます。

 市内の各種団体で構成される「輝く加東 まちづくりコンソーシアム」では、次代を担う若い人たちの柔軟な発想で「加東市に住んでみたい、住み続けたい」と思えるまちづくりを提案してもらおうと、昨年11月に学生フェスタを開催しました。
  フェスタでは、市内に在住・在学する中学生から大学生までの若い人たちから、直接まちづくりへの意見や提案を聞くことができたとても貴重な機会でした。
  平成25年度は、その提案の事業化に取り組みながら、兵庫教育大学のあるまちの優位性をさらに活かし、大学生をはじめとした若い人たちにも積極的にまちづくりに参画してもらうとともに、コンソーシアムとまちづくり協議会等との協働・連携をより密にし、この加東市に住んでもらえるよう、また住み続けてもらえるまちづくりを積極的に進めていきます。

 市のマスコットキャラクター「加東伝の助」は登場から5年目を迎え、各種イベントへの参加等を通じて、市民の皆さまに認知される存在となっています。
  今までは、加東市の良いところを伝えるために市外へのイベントに積極的に参加していましたが、平成25年度は「着ぐるみっとin加東2013(仮称)」を東条湖おもちゃ王国で開催して、県内外のマスコットキャラクターとともに、加東市のPRと加東市の情報を発信していく予定です。
  様々な舞台で活躍する伝の助を、ぜひ応援してください。

 そして、加東市のまちづくりを関東方面から応援いただく「関東加東応援団」も設立3年目を迎えました。
  平成24年度は、市民向け講演会の講師として、その貴重な経験等をふるさとに還元していただきました。平成25年度は、加東市の特産品や観光のPRだけでなく、その知識や経験、人脈を活かした事業展開により、加東市のまちづくりを応援いただきたいと思います。

 加東市で暮らす人をはじめ市外に住む人がこの加東市に愛着を持つことで、まちがさらに発展し、「輝く加東」につながるものと考えています。

(3)5つの推進プラン

 以上、3つのまちづくり戦略と確かな行政経営を念頭に、平成25年度の具体的な施策及び事務事業について、総合計画の政策体系に基づいて「5つの推進プラン」に大別し、その概要をご説明申しあげます。

 それぞれの推進プランは、

1 はぐくみ「教育、文化、スポーツ」の推進プラン
2 やすらぎ「環境、交通安全、防災・防犯」の推進プラン
3 やさしさ「子育て、保健、医療、福祉」の推進プラン
4 ゆたかさ「産業基盤、地域活力」の推進プラン
5 うるおい「都市基盤、情報、道路交通」の推進プラン

の5つです。

 最初に、第1のプラン “はぐくみ"「教育、文化、スポーツ」の推進プランです。

 学校教育では、子どもたちに「確かな学力」を身に付けさせるために、電子黒板などを活用したICT教育を積極的に推進します。とりわけデジタル教科書を、平成23年度に小学校の4教科で導入したところですが、平成25年度には中学校の社会科と理科に導入し、質の高い学習実践を目指します。さらに、ICT教育研究推進校として小・中学校それぞれ1校を指定して、他市に先駆けてその研究を進めます。

  また、学習チューターなど個に応じた学習体制の充実により、基礎的・基本的な知識・技能と思考力・判断力・表現力等をバランスよく伸ばし、主体的に学習に取り組む態度を養います。さらに、子どもの自主的な学習意欲向上を目指し、長期休業中の学校に兵庫教育大学の学部生・大学院生等を派遣する「加東スタディライフ」事業を展開します。

 国際化に対応した教育の推進としては、語学(英語)指導員を市立3中学校にそれぞれ1名ずつと、9小学校に対して2名を配置し、コミュニケーション能力の向上に取り組みます。

 地元の教育資源である兵庫教育大学について、学習チューター制度での学部生・大学院生の活用や、同大学教授等を各種研修会の講師として招へいするなど、人材活用を進めます。

 道徳教育では、道徳の時間を基本に、県教育委員会が作成した「道徳副読本」も活用しながら、学校の教育活動全体を通じて自尊感情や生命の尊重、公共の精神や規範意識など道徳心を高めます。さらに、いじめは人権・命にかかわる重大な問題と捉え、家庭・地域との連携を密にしていじめ防止に努めます。

  また、加東遺産めぐりの旅などの体験活動を通じて、伝統や文化を尊重し、ふるさとを愛する心を育てます。

 特別支援教育では、教職員の研修の機会をより充実するとともに、障害のある園児、児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、個別の教育支援計画及び指導計画に基づいて適切に指導・支援します。また、教育・福祉・保健・就労等の各分野が連携するインクルーシブ体制整備を、兵庫教育大学の協力を得ながら、県関係部署と連携して進めます。

 建物の構造体の耐震化は終了しましたが、さらに安全、安心な学校施設の実現のため、校舎や体育館の外装材や天井材、照明器具などの「非構造部材」の耐震化についても、早急に対策を図る必要があります。まずは非構造部材の点検を実施し、その結果により平成26年度に非構造部材の耐震化工事を行います。

 学校給食センターでは、「兵庫県食育衛生管理プログラム(兵庫県版HACCP)」の認定を受け、衛生管理システムと食品の履歴を明らかにするトレーサビリティを導入し、衛生管理の徹底と地産地消の推進、献立内容の工夫と充実により、安全、安心な学校給食を提供しています。

 学校給食は、児童・生徒に栄養バランスのとれた食事内容や食について学ばせるとともに、見る・食べるといった行為を通じて食への興味、関心を高めます。地域の食文化や伝統に対する理解を深め、地産地消を推進するために、月に1回の「お楽しみ給食」として学校給食特別メニューを実施し、魅力ある美味しい学校給食の提供に努めます。

 社会教育では、次代を担う子どもたちに、郷土の歴史・文化の伝承と郷土への愛着心を育むため、あったか加東伝の助かるた大会を実施するとともに、小学生チャレンジスクールや加東ノーベル大賞、地域子ども教室の開催を通じて子どもたちの健全育成と人間力の向上に取り組みます。

 また、社会教育施設の「非構造部材」の耐震化についても、新耐震基準施行(昭和56年)以前に建築された建物に限らず、新耐震基準施行以降に建築された建物の場合も、地震に対する安全性を確保するため、外壁や天井、吊り物などを順次、点検していきます。

 生涯スポーツでは、ソフトボール大会やふれあい球技大会、市民ハイキングなどを開催し、コミュニティの活性化や健康増進に積極的に取り組みます。

  さらに、地域の生涯スポーツを推進する各種体育団体や体育指導者を育成するほか、スポーツ賞や賞賜金の制度により、市民スポーツ活動を支援していきます。

 文化振興では、協賛金の公募、地域住民とタイアップした広報活動を行うなど、新たな試みで再生した「日本木管コンクール」は、着実に文化の裾野を広げています。引き続き、創意工夫を加えながら事業を展開していきます。

 文化財保護では、昨年に国宝「朝光寺本堂」の屋根の葺き替え工事が完了し、新しく優美に生まれ変わった朝光寺はもちろんのこと、今後も地域の伝統や誇り、貴重な文化財の保持、保存に努めます。

  また、今年は「播磨国風土記」の編さん開始から1300年を迎えることから、これを記念した特別展を加古川流域滝野歴史民俗資料館で開催します。

 人権教育では、同和問題をはじめ様々な人権課題に関するテーマの講演会や研修会を実施するとともに、加東市人権・同和教育研究協議会との連携を強化して、市内外の人材や組織とのネットワークを広げ、地区学習会をはじめとした人権教育、啓発を進めます。

  また、小・中学校において人権教育に関する講演会等を開催し、いじめや不登校など様々な人権にかかわる課題の解決に取り組みます。

 図書館では、小学校や保育所と連携し、すべての市立小学校へ司書が選書した本を毎月100冊、大規模校には200冊を届ける「おとどけ図書館」や小学3年生が図書館を見学する「おでかけ図書館」を引き続いて行い、図書とふれあう機会の提供に努めます。さらに、絵本等を読む「おはなし会」を、場所を図書館に限定せずに展開していきます。

  また、郷土の詩人「坂本遼」の貴重な資料の寄託を受け、資料の適切な保存、整理に取り組みます。

 国際交流では、オリンピア市との学校交流の調整や、教育・環境施策をはじめとした市政についての情報交換など、行政間の姉妹都市交流を展開するとともに、今年兵庫県とアメリカ合衆国ワシントン州との姉妹提携が50周年を迎えることから、その記念行事に参加します。

  また、在住外国人の増加に伴い、外国語生活ガイドブックを作成し、外国人が暮らしやすいまちづくりに取り組みます。

  加えて、国際交流協会が進める法人化への体制づくりを支援しながら、協会とともに姉妹都市訪問事業やフレンドシップファミリー事業、外国語講座等、市民の国際交流・国際理解の機会を継続して提供していきます。

 次に、第2のプラン“やすらぎ"「環境、交通安全、防災・防犯」の推進プランです。

 まず、廃棄物処理では、引き続きごみ減量への取組として全地区でステーションパトロールを行い、啓発活動に努めます。そして、ごみのリサイクルの推進に努め、限りある資源を有効利用することで、循環型社会を目指していきます。さらに、市民・事業者と連携したマイバッグ持参運動をより一層推進し、レジ袋の削減に取り組んでいきます。

 消費者擁護では、消費者被害の複雑・多様化に対応するため、消費生活相談員及び職員の研修に努め、相談体制を充実します。また、既存の広報媒体を活用し、消費者被害を防止するための啓発に取り組みます。

 防犯対策では、地区公民館等の防犯用センサーライトの設置費補助や市職員及び協力事業所等による青色防犯パトロールを継続して実施します。さらに、平成25年度は防犯カメラを設置して防犯体制の強化に取り組み、犯罪の発生抑制に努めます。

 交通安全対策では、引き続きカーブミラーの設置などにより通学路等を改善するとともに、道路交通の安全確保のため、交通規制や道路標示、信号機などの交通安全施設の整備を、警察や国、県の道路管理者に要請していきます。

 防災対策では、防災意識の高揚とあわせて関係機関と連携した減災対策に努めるとともに、加古川の河川改修工事の実施に向けて内部体制を整えます。

  また、地域の防災力の向上を目的に、平成24年度は、上滝野、下滝野、河高及び天神地区で「マイ防災マップ」が作成されました。地域における危険箇所等の再確認、自分たちの命は自分たちで守るという観点から、平成25年度においても「マイ防災マップ」の作成を支援するとともに、小・中学校での防災教材冊子の作成に取り組み、防災意識の向上に努めます。

 また、北朝鮮による人工衛星と称するミサイルの発射などがあり、災害だけでなく、国民保護の観点からも緊急情報を伝達する手段として、J-ALERT(ジェイアラート)システムやかとう安全安心ネット、エリアメールに加えて、緊急情報がNHKやサンテレビのデータ放送で提供される「公共情報コモンズ」が始まりました。これらのシステムを適切に運用して、災害に強いまちづくりを進めます。

 地域防災力の要である非常備消防については、全国的に団員数が減少傾向にあるため、団員の確保とともに平成24年度には防寒着を貸与し、処遇の改善に取り組みました。引き続き、積載車の更新など消防団設備の整備や資機材の充実により、地域防災力の向上に努めます。

 安全、安心の住まいづくりを推進するため、住宅耐震改修工事を行う方に対して、兵庫県の「わが家の耐震改修事業」に上乗せして補助を行い、住宅の減災対策に取り組みます。

 次に、第3のプラン“やさしさ"「子育て、保健、医療、福祉」の推進プランです。

 アフタースクールの運営では、東条東アフタースクールの新築工事の完了により、市内5か所に専用施設を設置しました。そのうち3か所で、重度の障害のある児童を受け入れます。さらに、各アフタースクールの定員を見直すとともに、小学4年生まで入所資格を拡大します。また、盆休みについても希望に応じて開所し、子育てを支援していきます。

  あわせて、研修等により指導員をスキルアップし、児童の健全な育成に努めます。

 私立保育所の施設整備については、引き続き整備費を補助します。障害児等保育事業についても兵庫教育大学と連携し、市内のすべての保育所で、発達障害児等に対して同じレベルでの高度な支援体制がとれるように、保育士の更なるスキルアップに取り組みます。

 児童館では、やしろこどものいえを拠点に親子活動やひろば事業を実施するとともに、サークル活動の支援を行います。また、大型スクリーンを活用した定期的な映画上映や恒例になった市内小学生の企画実行による子ども映画祭やプラネタリウム投影を実施し、親子の交流、仲間との出会いの場を提供します。

 また、ひとり親家庭の早期自立を支援するため、相談員と相談者の関係づくりに努めるとともに、福祉年金(ひとり親等)支給事業の実施に代えて母子自立支援員を1名増員し、指導及び相談体制を強化します。

 妊娠・出産支援では、安心して定期的な妊婦健診が受診できるように妊婦健康診査費75,000円(14回分)を助成するとともに、不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減するために、治療に要する費用に対して1回5万円を上限に通算10回まで助成します。

  また、出産後には早期に家庭を訪問し、母子ともに健康で過ごせるよう支援していますが、平成25年度からは、新たに未熟児訪問指導も含め、すべての赤ちゃんを対象に訪問支援を実施していきます。

 子育て支援策としては、乳幼児健診や育児教室、子育て何でも相談等を通じて、健やかな子どもの成長と自信が持てる子育てを応援します。

  また、県の発達障害児の早期支援事業のモデル市町の指定を受け実施している5歳児発達相談事業を継続し、子ども自身が自己効力感を持ちながら安心して就学を迎えられるように支援していきます。

  そして、子どもの健やかな成長のためには基本的生活習慣を身に付けることが必要であることから、早寝早起き朝ごはん運動を推進します。

 少子化対策の一環として取り組んでいる男女交流パーティーは、より多くの方に出逢いの場を提供できるよう平成24年度は年2回の開催とし、9組のカップルが成立しました。今後も多くの方に参加してもらえるよう内容を充実させ、また、やしろショッピングパークBio内に開設されている「北播磨出会いサポートセンター」等と連携して、広く参加を呼び掛けます。

 次に、児童虐待防止対策では、虐待をしてしまうことに悩む親を対象に、虐待の終止、子どもとの関係修復を目的とした、親が回復するための支援プログラム「MY TREE ペアレンツ・プログラム」を新たに実施します。

  さらに、要保護児童対策地域協議会の構成組織間の連携をより強化し、児童虐待の早期発見と未然防止に努めます。

  また、生後4か月までの乳児のいる家庭を全戸訪問し、支援が必要な家庭に対して適切なサービスにつなげるこんにちは赤ちゃん事業や育児支援家庭訪問事業を引き続き実施し、子育てに関する様々な不安や悩みの解消に努めます。

 また、市内の中学校において、デートDV研修を実施し、暴力に対する正しい理解を促します。そして、専門相談員による「女性のための相談」も継続実施します。

 子どもの疾病予防の充実として、各種相談や健康診査の機会を捉えて予防接種を勧奨するとともに、個別通知を行うなど、接種率向上に努めます。また、乳児期における予防接種の種類の増加により、個人の予防接種がスムーズに行えるように、平成25年度からBCGを個別接種で実施します。

  なお、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン及び子宮頸がん予防ワクチンについては、定期接種化される予定です。

 健康増進の取組では、生活習慣病を予防するために、まちぐるみ総合健診を実施します。市広報紙やケーブルテレビでの情報提供をはじめ、各種教室などの機会を捉え、内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)に着目した特定基本健診と、各種がん検診・肝炎ウイルス検診等の受診率の向上を目指します。また、昨年に引き続き、腎機能のチェック項目としてeGFR(推算糸球体濾過値)を実施し、健診内容を充実します。

  さらに平成25年度は、新たに胃の健康度チェックとして、ピロリ菌感染の有無や胃の委縮度を調べる検査をオプション検査として実施することにより、将来の胃がん予防に役立てます。

 こころの健康づくりの課題として、本市では中高年男性の自殺率が国・県より高くなっています。市民一人ひとりのかけがえのない「いのち」を大切にする健やかな地域づくりを目指し、こころの健康づくりネットワーク会議を基盤に、こころの健康講演会の開催やこころの相談窓口の周知に努めます。

  さらに、こころの健康状態を携帯電話やパソコンを利用して調べることができる「こころの体温計」サービスを開始します。

 また、疾病にかからず健康を維持するためには、感染症の予防接種を受けておくことが重要です。高齢者の季節性インフルエンザの発病及び感染を予防するため、予防接種費用を全額助成するとともに、腎機能や呼吸器機能、免疫機能に障害のある人には、肺炎球菌ワクチンの予防接種費用についても全額助成します。さらに、接種勧奨チラシの配布や個別通知により接種を促し、重篤化予防につなげていきます。

 高齢者福祉・介護保険事業では特に、介護予防事業と生きがい対策に視点をおいて市民との協働事業を展開するために、平成25年度から新たに「かとうまちかど体操教室」を実施します。

  また、包括的支援事業における相談業務を充実するとともに、昨年10月に開設した「介護ファミリーサポートセンター」の登録会員数の増加に取り組み、ひとり暮らし高齢者や高齢世帯等への話し相手や見守り活動などの生活支援サービスの充実に努めます。

 認知症対策では、引き続き物忘れ相談プログラムの活用等により、軽度認知障害の正確な把握に努め、高齢者とその家族に対して、早期の段階から状態に応じた保健、医療、福祉サービスを継続的に提供できるよう、関係機関等との連携強化に努めます。

  また、昨年末に、「滝野にぎわいプラザ」において回想法交流コーナーを開設しています。誰でも気軽に懐かしい映像を活用して回想法を体験していただけるように、市民や団体、事業所への周知に取り組みます。地域においても、地域回想法を取り入れた自主的な研修や教室を推進し、介護・認知症予防に取り組んでいきます。

 さらに、市民が高齢期を健やかで自立し、安心して暮らせるように、平成24年度に策定した「高齢者保健福祉計画・第5期介護保険事業計画」に基づき、各施策に取り組むとともに、地域包括ケアを推進していきます。

  また、この計画期間が平成26年度末で終了することから、次期計画の策定にかかるニーズ調査を実施します。

 福祉タクシー事業では、パンフレットを各戸配布するなど啓発に努め、平成23年度と比較して、現段階で利用者数が約1.3倍、利用枚数が約1.2倍に伸びています。平成25年度も引き続き、制度の啓発に努めます。

 障害者福祉では、「障害者基本計画及び第3期障害福祉計画」に基づき、引き続き要支援児童に対する発達障害等の早期発見、早期支援や、支援専門員及び障害者生活支援センターの相談支援体制のレベル向上、療育事業の強化に努めます。

  あわせて、障害のあるなしに関わらず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりに向けて、障害についての理解を深める機会や障害のある人との連携の場づくりなどに努めていきます。

 さらに、障害者自立支援法に代わり、「基本的人権を享有する個人としての尊厳」を明記した障害者総合支援法が本年4月1日に施行されることから、居宅介護や短期入所、施設入所支援、就労支援などの福祉サービスに加え、障害児タイムケアなどの日中一時支援、移動支援、意思疎通支援などの地域生活支援事業をさらに充実して実施します。

  また、訪問介護事業では、移動支援の充実や利用者の状況に応じた休日での在宅介護など、障害者の支援に一層重点化したサービスを展開していきます。

 医療保険制度は、安心して暮らせる生活のベースラインです。中でも、国民健康保険や後期高齢者医療保険は、加齢とともに受診機会が増加する高年齢者にとって必要不可欠な公的医療保険ですが、加入者の高齢化と、年々進歩し高度化する医療技術によって、必要となる医療費はますます増加しています。

  「元気で長生き」することが、医療費の抑制につながります。心臓病や脳血管疾患、糖尿病などへの重症化を抑制するには、まず、健康診査で自身の健康状態を把握し、生活習慣を見直すことが重要です。そのため、一人でも多くの方に特定健診を受診していただくため、平成25年度も未受診者を中心に、電話勧奨や啓発リーフレットの配布を行い、特定健診の受診を推進します。

 日本人の死因で最も多い「がん」。その中でも部位別に多いのが、肺がん、胃がん、大腸がんです。国はこれらのがんの検診受診率50%を目標に、受診を推進しています。

  平成25年度も引き続き、40歳以上の国民健康保険加入者がまちぐるみ総合健診で胃がん・大腸がん検診を受けられる場合の個人負担金を無料とし、がんの早期発見、早期治療につなげ、医療費の抑制を目指します。

 近年、高齢化の進展により物忘れ、認知症疾患に悩む方が大変多くなっています。加東市民病院では、認知症患者とその家族の方が住み慣れた地域でできるだけ長く安心して生活していただくための支援として、昨年4月に「兵庫県認知症疾患医療センター」の指定を受けました。保健、介護分野との連携を図り、高齢化社会のニーズに対応するとともに、さらに、高齢者に優しい入院療養環境の整備のため、病棟のトイレや浴室及び空調設備の改修に着手します。

  また、平成26年度からの新地方公営企業会計制度の本格適用に向け、会計電算システム等を改修します。

 次に、第4のプラン“ゆたかさ"「産業基盤、地域活力」の推進プランです。

 加東市の製造品出荷額等は、県内でも上位を維持しています。これは元気な加東を表す指標といえ、地域産業をはじめ工業団地への企業進出などの活力による地域経済の活性化の賜物と捉えています。今後も元気な加東を維持できるよう、地域経済の活性化を推進していきます。

 その中で、企業誘致対策では、非常に厳しい経済情勢の中にあって、昨年は市内の工業団地に新たに4社が操業されるなど一定の成果が得られています。

  そして、市内の4つの工業団地は、2月末現在で47社の操業となり、引き続き地域産業の活性化をはじめ、企業への操業継続支援に取り組むとともに、ひょうご東条ニュータウンインターパークの残り区画への企業誘致を中心に、兵庫県及び都市再生機構などと連携しながら進めていきます。

 また、加東市に進出された企業の活動支援として、「加東市オンラインかわら版・情報提供システム」を間もなく立ち上げます。

  これにより企業が抱える課題等の把握を行い、解決に向けての行政との連携や、企業間の課題を共有し、企業間交流連携、さらには地元企業との連携、工業と商業、サービス業など異業種間の交流に加え、産業クラスター形成の支援に取り組みます。

 雇用対策では、就労支援事業が事業仕分けにおいて厳しい判定を受けました。しかし、就労支援は重要な施策であることから、就労支援担当課での相談受付体制の整備や福祉部局等関係機関との連携を一層密にし、加えて就労支援室活用のPR強化に努めるなど、事業の改善と強化を行い、就職を希望する市民が一人でも多く希望する職に就けるよう、市商工会と連携してきめ細かな就労支援体制を確立し、取り組みます。

 農業基盤の整備では、危険ため池の改修に引き続き取り組みます。近年、大規模な地震が頻発しているため、農業用施設の耐震化を推進するとともに、ため池のハザードマップを整備し、防災・減災対策に取り組みます。また、土地の境界・地籍等を明確にする地籍調査を、計画的に推進していきます。

 有害鳥獣対策では、兵庫県猟友会加東支部との連携のもと、有害捕獲や特定外来生物捕獲を実施するとともに、平成24年度に引き続き、国の事業の活用と市の事業の推進により、防護柵の設置をはじめとした地域ぐるみの被害防止対策を支援します。

 緑化や美化活動では、地域を自分たちの誇りとするために、引き続き各地区への花苗の配布やイベントを通じて、より多くの市民の緑化意識の高まりを誘引し、誰もが住み続けたいと感じるまちの創造を目指した取組を促進します。

 観光振興では、観光ツアーとして源平合戦ツアーや義経伝説ツアーを開催し、多くの参加者がありました。これらは、加東市の観光知名度アップやリピーターの増加に繋がっており、国宝「朝光寺本堂」の修復事業の完成やボランティアガイドの充実に伴い、観光客を加東市に取り込むツアーを継続して実施し、交流人口の増加に取り組みます。

  また、ふるさと兵庫100山にも選ばれ、「気軽に登れる、そして安全な山」として市内外から多くの登山愛好家が訪れる三草山では、山口登山道の駐車場やトイレ整備を目指し、準備を進めます。

 そして、加東市のPRキャラクターとして定着してきた「加東伝の助」を活用し、さらに市外向けにPRできるグッズの開発や地域産品を使った特産品の研究、商品化を、市観光協会、市商工会と連携し実施します。

 また、多くのゴルフ場を有する加東市の特徴を活かし、利用者増を促す事業を市ゴルフ協会とともに引き続き実施するとともに、将来的なゴルフ人口の増加を目指し、ジュニア世代の育成にも積極的に取り組みます。

 加東市夏まつりは、盛大な花火で市外への観光発信を目的とした「加東市花火大会」と、ふるさとの盆踊りの伝承で市民のコミュニティづくりを目的とした「加東市夏のおどり」に分けて開催してきました。平成25年度は、これまでの開催内容に改善を加え、加東市の夏の風物詩として定着するよう盛大に開催したいと考えています。

   また、文化連盟との合同開催となった加東市秋のフェスティバルは、平成25年度も「文化と秋のみのり、地域産業」が一体となったイベントとして開催するほか、東京スカイツリー「ソラマチ」で加東市の観光PRを行うなど、加東市の魅力を全国に発信していきます。

 次に、第5のプラン“うるおい"「都市基盤、情報、道路交通」の推進プランです。

 道路整備については、暮らしの利便性を高め、快適、安全に配慮した道路環境づくりに向けて、国の交付金事業を活用しながら、都市計画道路「滝野梶原線」をはじめ基幹道路の整備、市民生活に密着した道路改良事業、通学路の歩行帯整備を進めていきます。あわせて、道路・公園の計画的な維持管理に努めるとともに、「公園施設長寿命化計画」を策定します。

 市の都市計画については、市街化区域及び市街化調整区域の見直しも視野に入れ、検討を加えるとともに、市街化調整区域は新規居住者の住宅区域の指定も選択肢とした特別指定区域制度の取組と活用により、地域の実情にあった秩序ある土地利用を誘導していきます。

 天神東掎鹿谷土地区画整理事業では、区域内の良好な住環境を保全するための地区計画を策定します。また、保留地処分などの組合事業を支援し、事業の早期完成を目指します。

 ユニバーサル社会づくり事業では、これまでの事業を検証するとともに、身近な課題に目を向けて、安心して暮らせるまちづくりを進めます。

 市営住宅については、適正な維持管理を行うとともに修繕計画を策定し、市営住宅の長寿命化に努めます。そして、小元団地については、建替えに向けた調査を行います。

  また、住宅使用料の滞納整理については、公平、公正を確保するため、引き続き厳しい姿勢で臨みます。

 ケーブルテレビでは、新庁舎の完成に合わせて無線LANを構築し、Wi-Fi(ワイファイ)サービスを開始します。これにより、庁舎でパソコンやタブレット端末などの機器を用いてインターネットの利用が可能となり、庁舎利用者の利便性が向上します。

  さらに、ひとり暮らし高齢者や高齢者夫婦世帯の安否確認として、テレビの操作状況をあらかじめ登録された親族等にお知らせする高齢者の見守りサービスの実証実験に取り組みます。

 地域公共交通の取組では、昨年10月に関係者、特に米田地区の皆さまのご理解とご協力により「米田ふれあい号」が運行できましたことは、大変意義のあることだと捉えています。また、公共交通空白地である南山地区における交通手段の確保に向けて、住民、事業所を対象にした公共交通についてのアンケート調査を実施したところです。

  公共交通機関は生活に欠かすことのできない大切な移動手段であることを市民の皆さまにご理解いただきながら、地域の実情にあった手法を地域の方とともに検討し、移動手段の確保に取り組みます。

 また、交通量の増加や路線バスの再編に伴い、安全、安心な通学が喫緊の課題になってきています。特に遠距離通学者については、市内での公共交通体制の見直しにあわせてスクールバスの導入を進めます。

 一方、市西部を南北に走るJR加古川線は、本年で開通100周年を迎えます。

  市の重要な公共交通機関として、加古川線等利用促進・沿線地域活性化協議会を通じて、加古川線の利用促進に取り組んできましたが、この節目の年に記念イベントを実施して100周年を祝うとともに、これからも今まで以上に多くの方に利用していただけるよう様々な施策を行っていきます。

 水道事業は、施設の運転管理業務と料金収納等業務の民間委託体制を維持しながら、安全な水道水の安定供給と災害に強い水道づくりの推進に取り組んでいます。高区配水池から中区配水池への重要給水拠点施設をはじめ管路の耐震化や梶原・上中地内の配水管増強工事など、配水施設の整備を実施するとともに老朽管の更新を進めます。

 下水道事業については、引き続き、効率的な施設の維持管理に努めます。また、雨水による市街地の浸水被害を未然に防ぐため、雨水管布設工事を実施するほか、天神東掎鹿谷土地区画整理地内で汚水管布設を行うなど、より快適な生活環境の確保に努めます。

  また、上下水道ともに、平成26年度からの新地方公営企業会計制度の本格適用に向け、会計システム等を改修します。

 以上が、平成25年度における私のまちづくりの所信と主要な施策及び事務事業の概要です。その予算規模は、

一般会計   19,194,000千円
特別会計   7,820,369千円
企業会計   7,439,746千円
合計   34,454,115千円

といたしました。

(4)おわりに

 平成20年に策定した総合計画に基づくまちづくりも、中間点を過ぎようとしています。前期基本計画で取り組んだ施策を評価、検証し、時代の変化に対応するとともに、新たなニーズを踏まえ策定する後期基本計画に基づいて、平成25年度からのまちづくりに取り組むこととなります。

 この計画に基づき、一つ一つ確実にまちづくりに取り組むことで、「山よし!技よし!文化よし!夢がきらめく☆元気なまち 加東」が実現し、このまちに住んでよかった、このまちに住み続けたいと思っていただける「輝く加東」につながるものと確信しています。

 議員各位におかれましては、格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申しあげますとともに、あわせて、上程している諸議案を慎重審議いただき、適切なご決定を賜りますようお願い申しあげます。

この記事に関するお問い合わせ先

加東市 まちづくり政策部 企画政策課
〒673-1493
兵庫県加東市社50番地 庁舎4階
電話番号:0795-43-0389
ファックス:0795-42-5055
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