平成24年度施政方針

更新日:2016年03月20日

山よし!技よし!文化よし!

夢がきらめく☆元気なまち 加東

加東市長 安田 正義

施政方針(要旨)

(1)はじめに

 平成24年度の予算並びに諸議案のご審議にあわせて、私の市政に対する所信の一端を申し述べ、議員並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 平成23年を振り返りますと、日本国内では、太平洋三陸沖を震源とした国内観測史上最大規模のマグニチュード9を記録した東日本大震災と、地震に伴う福島第一原発事故により、甚大で深刻な被害を受けました。また、台風12号や15号の記録的大雨による被害、そして海外では、ニュージーランド地震や、タイ中部での洪水により多くの日系企業の工場が大きな打撃を受けるなど、自然災害の恐ろしさをまざまざと見せつけられた1年でした。

 一方で、これらの大規模な災害に直面して私たちは、家族や仲間など身近な人々とのつながり、さらに、地域コミュニティにおける人と人、人と地域、地域と地域のつながりなどを、大切な「絆」として改めて実感するとともに、愛着のある住み慣れた我がまちをかけがえのない「ふるさと」として、再認識した1年でもあったと思います。

 幸いにも加東市は、東日本大震災による影響もほとんどなく、台風による被害も限定的で、美しい自然や豊かな文化、あたたかな人々が、これまでと変わらずあることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

 私は加東市長として、貴重で尊い地域の財産を守り育てながら、人々や地域の「絆」を大切にして、市民の各層をはじめ各種団体や事業者、企業、兵庫教育大学などあらゆるセクターとの新たなパートナーシップに基づいたまちづくりが今、求められていると感じています。

 そのようなことから、昨年の12月に、行政をはじめ、教育、産業、観光、まちづくりなど幅広い分野の団体やグループが交流しながら明日のまちづくりにともに取り組んでいくこととして設立した「輝く加東 まちづくりコンソーシアム」については、関係団体と協働、連携しながら、大きな活動へと発展させていかなければなりません。

  さらに、合併から一貫して「行財政改革の推進」「安全、安心のまちづくり」「産業基盤の充実」をまちづくりの重要課題として取り組んできましたが、「市」としての助走期間が終了し、自立したまちへステップアップしていく時期を迎えたことから、これまでの3つの重要課題を、「まちづくり戦略」と戦略を支える「行政経営」に明確に区分して、一体的に進めていく必要があると考えています。

  したがって、平成24年度からのまちづくりは、行財政改革を柱とした確かな行政経営に立脚するとともに、市民や事業者などあらゆるセクターと新たなパートナーシップを構築し、

一、学びと育みの機会づくり
一、安全、安心のまちづくり
一、元気な明日への基盤づくり

 の3つのまちづくり戦略に基づいて、創造的な施策や事務事業を展開することにより、「人口の流入と定住化を進め、支えあいと活力のある社会」の実現を目指してまちづくりを進めていくこととします。

(2) 3つのまちづくり戦略と確かな行政経営

1:3つのまちづくり戦略

まず、一つ目のまちづくり戦略は、「学びと育みの機会づくり」です。

 加東市は、地震発生時の児童・生徒の安全と近隣住民の避難場所を確保するため、学校施設の耐震補強工事を最優先事項として安全、安心な学校づくりを進め、平成22年度に北播磨地域で最も早く、学校施設の耐震化率100%を達成しました。そして、学習効率を向上させるための空調設備を、平成23年度は市立中学校に設置し、引き続き市立小学校及び幼稚園に設置します。

 また、これまですべての市立小・中学校の校舎内にAEDを設置していましたが、平成23年度に屋外専用のAEDと専用収納ボックスを、すべての市立中学校と市立小学校2校に設置しました。平成24年度は、残り7校の小学校に設置し、屋外活動での緊急時にも対応していきます。

 さらに、老朽化した施設の改修などを計画的に実施することにより、着実に教育環境が整ってくることから今後は、教育そのものの充実に力点をシフトして取り組んでいくことが重要であると考えています。

 そういったことから平成24年度は、「加東市教育振興基本計画」に掲げた基本目標「学びから新しい自分づくりと地域づくりをめざす加東市に!」の実現に向けて、人間力の育成と学校教育及び社会教育を重点に、「学びと育みの機会づくり」をまちづくり戦略の一つの柱として推進していきます。

 まず、学校教育では、学習指導要領の改訂が、平成23年度の小学校に引き続いて、平成24年度から中学校で全面実施となります。確かな学力の定着、思いやりや命を大切にする豊かな人間性の醸成、健やかな体の育成を目指し、学校、家庭、地域が一体となって取り組んでいきます。
  また、学校評価結果を活用して学校運営を改善するとともに、オープンスクールや積極的な情報公開により、地域に開かれた信頼される学校づくりを目指します。

 青少年の健全育成では、関係機関等との連携により、非行防止のための補導、環境浄化、啓発、相談活動に努めます。また、登下校等の安全を守る見守り活動や防犯教室の開催、ネット犯罪から子どもを守る加東市ネット見守り隊の積極的な活動により、安全、安心な地域づくりを推進します。

 社会教育では、市民誰もが生涯にわたって学習機会を得ることができる、また、その結果を適切に活かせる機会や場が提供できるように、生涯学習環境の充実に努めます。
  また、公民館サークルや各種の文化団体、そして社会教育関係団体の育成に努めるとともに、公募美術展や文化祭、コンサート等文化事業の開催を通じて、市の文化振興に努めていきます。

 人権教育、人権啓発では、市民一人ひとりの人権が尊重される自由で平等な社会づくりに向けて、「加東市人権尊重のまちづくり基本計画」及び「加東市男女共同参画プラン」に基づき施策を展開しています。
そして、人権の視点から地域の課題を積極的に捉え、包括的に対応するとともに、誰もが気軽に集い相談できる体制づくりを進めます。

 国際交流では、市と国際交流協会の役割を分担しながら、教育分野の交流を柱に様々な事業を実施します。
 平成24年度は、姉妹都市交流でオリンピア市交換留学生と同市親善使節団を受け入れるとともに、市内でのワシントン州アンテナショップの開設について、関係機関と協議を始めます。

 二つ目のまちづくり戦略は、「安全、安心のまちづくり」です。

 昨年は、東日本大震災をはじめ台風や大雨により甚大な被害を受け、自然の脅威を思い知らされるとともに、日ごろからの防災への備えの大切さを改めて認識させられました。市内でも、大雨による法面の崩落や浸水被害があり、平成22年度に整備した排水ポンプ積載車を出動させ、対応しました。

 そのような中、防災・減災対策では、東日本大震災を踏まえた兵庫県の地震被害想定の見直しに沿って、「地域防災計画」及び「災害対策職員初動マニュアル」を早期に修正し、災害対策に当たります。
  そして、被害を最小限に抑えるためには、行政や常備消防だけでなく消防団や自主防災組織を強化し、地域の自助・共助による総合的な防災力を高めていく必要があることから、防災意識の高揚とともに、学校や自主防災組織の合同防災訓練などの取組を支援します。
  また、災害時要援護者の支援に係る地域の連携について、地域ぐるみの防災訓練などの機会を通じて働きかけていきます。
  加えて、かとう安全安心ネットやケーブルテレビなどを活用して様々な情報を的確に提供するとともに、新たな地震被害想定などに基づいて防災備蓄資材を計画的に充実していきます。

 平成23年4月に北はりま消防組合が発足し、大規模災害等への消防活動体制の強化と本部機能統合による事務処理の効率化などを進めてきましたが、加東消防署は引き続き市民の生命、財産を守るために、消防、防災、救急活動の拠点としてその役割を果たしていきます。
  また、加東消防署の庁舎は建築後39年が経過し、施設の老朽化とともに耐震化やバリアフリー化に対応していないこと、また、住宅密集地でヘリポートがないなど新たな整備が必要であると考えられることから、北はりま消防組合との調整とあわせて、整備場所や規模、年次などについて検討していきます。

 交通安全対策では、一時期減少していた飲酒運転者が増加していることから、これまで取り組んできた高齢者の事故防止だけではなく、飲酒運転の根絶を目指した交通安全教室や啓発活動を、警察、交通安全協会と連携し、積極的に展開します。

 地域の防犯対策では、減少傾向にあった車上狙いが増加しています。また、夜間の事務所荒らしなど侵入盗も増加傾向にあります。このため、夜間の安全を守る防犯灯を環境に配慮したLED照明により整備するとともに、地域主体の防犯パトロールや見守り活動など地域ぐるみの防犯活動を推進し、犯罪のない安全なまちを目指していきます。

 環境対策では、地球温暖化など地球規模の環境問題への取組が重要度を増していることから、「加東市環境基本計画及び行動方針」に基づき太陽光発電システムへの補助を継続実施するほか、次代を担う子どもたちへの環境学習を強化、充実するとともに、市民、事業者、行政の三者が一体となってそれぞれの立場で環境問題に取り組むことにより、環境に配慮した持続可能な地域づくりの形成に努めます。

 次に、健康増進、健康づくり事業では、市民運動として定着してきた「サンサンチャレンジ」を引き続き実施し、気軽に楽しく取り組める健康づくりの機会を提供することにより、心臓疾患や脳血管障害、糖尿病などの生活習慣病の発症に大きく影響している内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)の減少に取り組みます。
  また、様々な健康情報が氾濫する中で、正しい情報を提供するとともに、市民の健康づくりのモチベーションを維持し、生活の質の向上と豊かな人生を応援していきます。

 乳幼児等の医療では、誰もが安心して医療を受診できるように、小学4年生から6年生までの子どもの通院に係る医療費の一部助成を平成24年度も引き続き実施し、子育て環境の充実に努めます。

 子育て支援では、「加東市次世代育成支援行動計画」の重点的な取組の一つである病後児保育を実施するとともに、休日保育、延長保育、一時預り保育の充実、アフタースクールの運営やファミリーサポートセンター事業、児童館におけるひろば事業等の充実により、母親等の就労や育児中の家庭に対する支援を強化します。

 高齢者や障害者福祉では、福祉関係団体やボランティアの方々と連携して、地域福祉の充実と質の向上を目指すとともに、引き続き障害のある人に対して就労機会の場の提供による就労体験を通して社会との交流を促進し、就労へのきっかけづくりと自立した日常生活や社会生活が営めるように支援していきます。

 発達障害児については、早期の療育や支援により多くの生活能力を獲得できるため、特に早期発見、早期支援が重要になっています。
  そのためには、保健、医療、福祉だけでなく、保育所や幼稚園、教育関係部署で関わる従事者が発達障害を理解し、地域での緊密な連携のもと連続した支援が必要なことから、兵庫教育大学との連携による「インクルーシブ体制」の研究を進めるとともに、就学期へスムーズに移行できるように、支援体制を強化します。

 加東市民病院は、市民の皆さまが安心できる医療と看護を提供するために、医療機器や設備を整備、更新するとともに、昨年は、北播磨保健医療圏での「地域医療連携システム(北はりま絆ネット)」に参加し、情報公開病院として医療機関をはじめ介護、福祉施設との連携を進めています。
  しかし、医師の確保が困難な中で厳しい経営状況が続いていることから再度、公営企業の理念である独立採算の原則に立ち返り、市民病院を取り巻く近隣医療施設等の環境を見据え、経営危機意識を職員一体となって共有し、経営改善に取り組むとともに、市民病院としての将来像を明確にしなければならないと考えています。

 また、ケアホームかとうについても、介護環境の改善に努めながら、民間活力の活用を含めて、経営形態の方向性を検討していきます。

三つ目のまちづくり戦略は、「元気な明日への基盤づくり」です。

 国の平成24年度の経済見通しでは、「日本経済は、本格的な復興施策の集中的な推進によって着実な需要の実現と雇用の創出が見込まれ、国内需要が成長を主導する(中略)ことから、我が国の景気は緩やかに回復していくことが見込まれる。」と示されましたが、北播磨地域の企業や事業所が予測する平成24年度の景気動向は、消費マインドの悪化などにより、回復の見通しが立たない厳しい予測となっています。

 このような中、市の経済の現状と課題を分析し、直ちに実行すべき施策の提案や中・長期的な指針となる経済戦略などを取りまとめた「地域経済活性化基本計画」を間もなく策定します。
  そして、この基本計画に基づいた具体的な行動計画としての「地域経済活性化実施計画」を、引き続き産学公人材イノベーション推進協議会の幅広い人材との連携により、平成24年度に策定します。

 また、企業誘致については合併後、ひょうご東条ニュータウンインターパークに15社の企業進出があるなど成果を得られています。引き続き、雇用や自主財源(税収)の確保、地域産業の活性化の観点から、勤労者の定住促進や経済活動の市内循環(再投資)なども含めて積極的に取り組んでいきます。

 農業振興では、本格実施から2年目となる農業者戸別所得補償制度を活用し、米の生産調整の推進や食料自給力の向上、農地の集約化による農家の農業経営を安定化するとともに、引き続き集落営農組織や認定農業者への支援、営農関係団体や担い手の育成、地元農産物の直売所を核とした地産地消に取り組むなど、地域農業の活性化を目指します。
  加えて、合併後課題となっている社、滝野、東条、3地域間の米の生産調整の方向性については、加東市農業再生協議会を中心に検討を進めていきます。

 また、農業の基盤となる土地改良施設の保全管理については、農業就業者の高齢化及び後継者不足等に伴い、個々の農家による適切な保全管理が困難となってきていることから、平成24年度からも継続される「農地・水保全管理支払交付金 共同活動支援交付金事業」や、老朽化が進む施設を補修、更新する「向上活動支援交付金事業」それぞれを通じて、地域共同での取組を支援します。

 地域の誇りである「酒米山田錦」については、日本酒の消費低迷に対し、JAみのりや酒造メーカーとの一層の連携により、特産山田錦で醸造された日本酒の魅力を情報発信しながら、販路拡大を目指した取組を更に進めていきます。

 観光分野では、市の自然や歴史、芸術文化などの豊かな資源を活用するとともに、観光資源の新たな開発や掘り起こしなどを通じて加東市を広くPRし、地域の活性化や観光振興につなげていきたいと考えています。

 ケーブルテレビは情報発信の拠点として、地域の様々な活動や文化、学校行事などをニュースにして各家庭に放送しています。
  平成23年度に市職員で編成した「ケーブルテレビ高度利用プロジェクト」から、高齢者などの見守り支援や、大規模小学校と小規模小学校が連携し交流を深めるための学校間をつなぐテレビ授業など、様々な提案がありました。平成24年度は、これらの提案の中から事業化が見込めるものについて検討していきます。

 快適な都市基盤形成では、自然環境と都市基盤が調和した住み良い生活環境と利便性を重視しながら都市機能を備えた基盤整備を進めていきます。

 特に道路整備については、市民生活での道路としての役割をはじめ、災害に強いまちづくりなど安全、安心や産業振興、観光交流など「活力」を支える基盤として着実に推進するとともに、バリアフリー化やユニバーサルデザインに配慮し、優先順位を見定めながら道路ネットワークの一層の構築に努めます。

2:行財政改革を柱とした確かな行政経営

 これら3つのまちづくり戦略に基づいた施策や事務事業を、効率的かつ効果的に展開していくためには、これまでの行政運営から行財政改革を柱とした確かな行政経営に転換していくことが必要不可欠です。

具体的には、市税等の自主財源の確保を基本として歳入と歳出のバランスを保ちながら、秩序正しく財政を運営すること。そして、限られた財源を有効に配分し事業の選択と集中、重点化を進めるとともに、市民の満足度が向上するように市民の視点に立って、「成果」を重視した行政活動を展開すること。さらに、職員個々の職務遂行能力の向上とあわせて、市の組織力を高めていくことが重要であると考えています。

 まず、財政運営については、地域の厳しい経済情勢の中で、市の財政状況も税制改正による増額要因はあるものの、市税全体では減収見込みであり、地方譲与税をはじめ交付金等の依存財源も減額となる見込みです。また、合併団体としての地方交付税の財政優遇措置も、平成28年度から段階的に減額されることから、市民のニーズに合致したサービスを展開しながら、一方で、あらゆる経費の削減に取り組み、しっかりとした財政基盤を整えることが、喫緊の課題であると認識しています。

 そのため、行財政改革については引き続き、平成23年4月に策定した第2次行財政改革大綱に基づいて強力に推進していかなければなりません。

 また、市職員による「新たな財源確保プロジェクト」から提案があった施設のネーミングライツやJR社町駅前駐車場の有料化、市の封筒等への広告掲載、ふるさと納税(寄附金税額控除)の推進などについては、実現に向けて平成24年度から積極的に取り組んでいきたいと考えています。

 市の最上位計画である加東市総合計画は、前期基本計画の計画期間が平成24年度末で終了することから現在、前期基本計画の総括や市民アンケートを実施し、「後期基本計画」の策定に向けた準備を進めています。
  平成24年度には、加東市総合計画審議会の設置をはじめ本格的な策定作業に着手し、行政経営の視点や成果指標を取り入れたより実行性のある戦略的な計画づくりに取り組んでいきます。

 また、平成23年度に初めて実施した事業仕分けは、これまで実施してきた事務事業の効果や成果などを改めて見直す機会になったと、一定の評価をしています。
  平成24年度は、より多くの市民の意見などを事務事業に反映させるために、「市民判定人方式」により8月12日の日曜日に実施することとしています。

 そして、第2次行財政改革の最重要課題に位置付けている公共施設の適正化については、「公共施設マネジメント白書」が間もなく完成する予定であり、また、後期基本計画の策定に当たって実施した市民アンケートで公共施設の適正化に関する市民の皆さまからの意見等についても現在、取りまとめています。
  平成24年度はこれらの基礎資料に基づき、将来にわたって公共施設を維持管理していける適正な水準を目指して、取組を強化していきたいと考えています。

 市の主要な自主財源である市税は、納付機会の拡大と利便性向上など収納環境整備の観点から、軽自動車税に限定していたコンビニ収納を、平成24年度から固定資産税・都市計画税、普通徴収の市県民税及び国民健康保険税に拡充して実施します。
  さらに、収納率の向上、滞納対策では、市税だけでなく市の債権(徴収金)について、効率的かつ効果的に回収できる手法などについて調査、研究するとともに、更なる徴収技能の向上を目指し、兵庫県住民税等回収チームの派遣について、引き続き要望していきます。

 また、市職員の定員管理では、平成23年度に第1次定員適正化計画の結果を踏まえて、「第2次定員適正化計画」を策定しました。この計画では、単に職員削減の目標を設定するだけでなく、年齢構成の平準化を最重要課題として取り組み、持続可能で安定した市民サービスを提供できる組織づくりを目指しています。

 さらに、人事考課の処遇への反映やジョブ・ローテーション制度、役職定年制度の導入により、市民満足度の向上を追及する職員づくりにも取り組んでいきます。
  そして、役職定年となった職員は「専門員」として、市の懸案事項や特殊で専門的な分野を担当することとし、これまでの経験や蓄積した知識・技能を活かして、地籍調査や市税等の滞納対策など重要課題の解決に取り組んでいきます。

 入札制度については、最低制限価格の見直しを検討するとともに、予定価格の事後公表を実施します。また、市内業者の大規模事業への参加機会を確保するほか、入札参加条件等を見直し、入札参加機会及び受注機会の拡大に努めます。
また、業務委託及び建設工事等の契約後の進捗状況及び完了確認については専門員を配置し、管理体制を強化します。

 公会計の財務書類4表については、引き続き段階的に内容を整備し、行政経営に反映させる仕組みづくりに取り組みます。また、決算状況等の公表については、見て分かりやすい資料作成に努めます。

 窓口サービスについては、外国人登録制度の変更に適切に対応するとともに、印鑑登録カードの統一を推進し、より一層の充実に努めます。また、戸籍等の第三者交付に係る本人通知制度を平成24年度に、導入します。

 懸案となっている庁舎統合整備については、より質の高い市民サービスの継続的な提供と更なる行政効率の向上のため、平成25年12月末の竣工に向けて、今年秋の工事着工を予定しています。市民にとって便利で、市民が集いやすい、そして、市民を大切にした庁舎の実現に向けて整備を進めます。

 また、庁舎統合整備にあわせて、中央体育館、保健センター、福祉センターホールの解体工事にも着手します。市民の皆さまには何とぞ、ご理解とご協力をよろしくお願い申しあげます。

3:新たなパートナーシップの構築(新しい協働)

 3つのまちづくり戦略の展開においては、行財政改革を柱とした確かな行政経営だけでなく、市民の皆さまをはじめとした各種団体や事業者などとの連携や協力が重要になります。
  そして、政府が掲げる「地域のことは、地域で決める。」という地域主権改革の理念により、地方公共団体は自ら考え、自らの責任における行動を一層求められていることから、あらゆるセクターと新たなパートナーシップを構築し、まちづくりの様々な場面で、参画と協働を進めていかなければならないと考えています。

 まず、住民自治の取組では、市内の小・中学校区での住民自治組織の活動が軌道に乗り、各組織で活発な活動が行われています。
  その中で、兵庫県の県民交流広場事業の補助金助成期間が終了した組織に対しては、地域住民のふれあいの場の創出をはじめとした地域の活性化事業が引き続き実施されるように、市のまちづくり活動費補助金を増額し、継続して助成していくなど、積極的に支援しています。

 そして、まちづくり活動費補助金の応募活動に係る補助事業は、市民参加のまちづくりを促進するための重要な事業であることから、応募団体等による活動発表会の開催などを通じて、広く活動をPRするとともに、より一層の補助制度活用を促します。

 また、平成24年度の秋には、地域に出向き、市政の現状や課題について説明するとともに、直接市民の皆さまからご意見等をお聞きして、今後のまちづくりに活かしていくための「市政懇談会」の開催を計画しています。

 市制施行5周年を記念して制定した「加東市民憲章」は、明るく住みよいまちづくりを進めていくための心のよりどころとして、会議や催し等での普及はもとより、子どもたちが日常生活の中で意識せずに親しんでもらえる機会を創出するなど、あらゆる世代への啓発に努めます。

 また、「兵庫教育大学のあるまち」の優位性を活かす取組の一つとして設立した「輝く加東 まちづくりコンソーシアム」は、市民主体のまちづくり協議会等と協働、連携し、地域が抱える課題解決に取り組み、魅力あふれる地域社会を創造するための中心的な役割を担っていきたいと考えています。
  平成24年度は、子育て支援講座を引き続き実施するとともに、次代を担う子どもたちを対象に、学びや体験を通じて「学ぶ楽しさ」を再発見してもらう「学生フェスタ(仮称)」の開催などを予定しています。

 市のマスコットキャラクター「加東伝の助」は、各種イベントへの参加、「伝の助でんデン音頭」の発表や関連グッズの販売などを通じ、市民の皆さまに親しまれ、愛される存在となっています。今後も、デザインの使用、音頭、テーマソングなど、様々な団体にあらゆる機会を通じて活用いただけるよう周知していきます。
  また、加東市の良いところをより一層伝えるために、彦根市での「ゆるキャラまつり」をはじめ、市外へも活動やPRの場を広げていきます。いろんなイベントに参加する伝の助をぜひ、応援してください。

 そして、加東市のまちづくりを応援する「関東加東応援団」は、出身者ら66人の参加を得て、昨年8月に設立されました。多彩な知識や経験、人脈を備えた会員も多く、平成24年度からは市民向けの講演会や講座の開催、企業関係者間のビジネスマッチング、加東市の特産品や観光PRなど、加東市発展のための取組が計画されています。

 さらに、市内外を問わず加東市に魅力を感じている人や興味がある人、定住を考えている人など、「加東市」をキーワードとした有志による「加東市ファンクラブ(仮称)」を設立し、様々な情報発信をはじめ市内めぐりの旅などによる「まちの再発見」や会員相互の新たな交流を通じて、地域を活性化するとともに、ふるさとへの愛着をこれまで以上に醸成していきたいと考えています。

(3) 5つの推進プラン

 以上、3つのまちづくり戦略と確かな行政経営を念頭に、平成24年度の具体的な施策及び事務事業について、総合計画の政策体系に基づいて「5つの推進プラン」に大別し、その概要をご説明申しあげます。

 それぞれの推進プランは、

1 はぐくみ「教育、文化、スポーツ」の推進プラン
2 やすらぎ「環境、交通安全、防災・防犯」の推進プラン
3 やさしさ「子育て、保健、医療、福祉」の推進プラン
4 ゆたかさ「産業基盤、地域活力」の推進プラン
5 うるおい「都市基盤、情報、道路交通」の推進プラン

の5つです。

 最初に、第1のプラン“はぐくみ"「教育、文化、スポーツ」の推進プランです。

 まず、学校教育では、子どもたちが「確かな学力」を身に付けるために、電子黒板などを活用したICT教育を積極的に推進し、質の高い学習を実践するとともに、学習チューターなど個に応じた学習体制の充実により、基礎的・基本的な知識・技能と思考力・判断力・表現力等をバランスよく伸ばし、主体的に学習に取り組む態度を養います。

 また、地元の教育資源である兵庫教育大学については、学習チューター制度での学部生・大学院生の活用や、各種研修会の講師として招聘するなど、人材活用を進めます。さらに、兵庫教育大学と共同で心の教育に関する実践的研究に取り組み、子どもたちの自尊心を高めます。

 道徳教育では、道徳の時間を基本に、平成23年度に県教育委員会が作成した「道徳副読本」も活用しながら、学校の教育活動全体を通じて、自尊感情や生命の尊重、公共の精神や規範意識など道徳心を高めます。また、加東遺産めぐりの旅などの体験活動を通じて、伝統や文化を尊重し、ふるさとを愛する心を育てます。

 特別支援教育では、教職員の研修の機会をより充実するとともに、障害のある園児、児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、個別の教育支援計画及び指導計画に基づいて適切に指導、支援します。

 また、平成24年度に学校のグループウェアの構築や校務支援システムを導入し、校務の軽減と効率化を進め、教育活動の質を改善することにより、教職員の児童・生徒に対する学習指導や生徒指導を充実します。

 学校給食センターでは、平成20年度に「兵庫県食育衛生管理プログラム(兵庫県版HACCP)」の認定を受け、衛生管理システムと食品の履歴を明らかにするトレーサビリティを導入し、衛生管理の徹底と地産地消の推進、献立内容の工夫と充実により、安全、安心な学校給食を提供しています。

 社会教育では、次代を担う子どもたちの健全育成と人間力を高めるため、小学生チャレンジスクールやあったか加東伝の助かるた大会などを開催します。

 また、生涯スポーツでは、地区親善のソフトボール大会とバレーボール大会、そして、ふれあい球技大会、伝の助マラソン大会などを開催し、コミュニティの活性化や健康増進に積極的に取り組みます。
  さらに、地域の生涯スポーツを推進する各種体育団体や体育指導者を育成するほか、スポーツ賞や賞賜金の制度により、市民スポーツ活動を支援していきます。

 文化振興事業の「日本木管コンクール」は、昨年の事業仕分けで不要と評価されましたが、二十数年来の歴史が刻まれていることに鑑み、平成24年度は、運営費の見直しや賛助金を募るなど税の持ち出しを縮減し、開催することとしました。
 平成25年度以降は、指摘された課題について更に検討し、事業の方向付けをしていきたいと考えています。

 文化財保護では、今年1月に工事現場説明会を開催した国宝「朝光寺本堂」の屋根葺き替え工事が最終年度を迎えますが、今後も地域の伝統や誇り、貴重な遺構の保持、保存に努めます。

 人権教育では、同和問題をはじめ様々な人権課題に関するテーマの講演会や研修会を実施するとともに、加東市人権・同和教育研究協議会との連携を強化して、市内外の人材や組織とのネットワークを広げ、地区学習会をはじめとした人権教育、啓発を進めます。

 図書館では、利用者の利便性向上のために、携帯電話やパソコンからすべての所蔵資料を予約できるサービスを開始しました。引き続き、蔵書及び貸出しを充実するとともに、小学校との連携をより強化するなど、市民のすべての世代が楽しく利用できる環境づくりに努めます。

 また、在住外国人との交流は、語学(英語)指導員派遣事業の成果の活用も含めて、全校での国際理解教育が展開されるように、学校や兵庫教育大学との情報交換の場を設けます。また、帰国留学生ネットワークや兵庫県等を通じて、留学生のふるさととの交流を深めます。

 市民の国際理解教育の充実として、国際交流協会を中心にフレンドシップファミリー事業など、市民と在住外国人との交流事業を継続させながら、外国人留学生を講師とした講座などを実施します。
また、社会的信用を高めるための国際交流協会の法人化に向けた取組について、支援していきます。

 次に、第2のプラン“やすらぎ"「環境、交通安全、防災・防犯」の推進プランです。

 まず、廃棄物処理では、引き続き「ごみ減量20%大作戦」及び全地区のステーションパトロールによる啓発活動を進めます。また、ごみのリサイクルを推進し、循環型活動スタイルを確立するためには、市民や事業者の参画と協働が必要であることから、消費者協会や事業者との連携により、マイバッグ持参運動によるレジ袋削減の取組を一層強化していきます。

 また、滝野文化会館では、リニューアル工事にあわせて飲料水兼用耐震性貯水槽を設置するなど、防災拠点としての機能を充実してきましたが、平成24年度は施設電力の節電と周辺施設を含めたエコ対策として、太陽光発電システムを設置します。

 消費者擁護では、複雑・多様化する社会経済活動の中で、消費者被害がより深刻になっていることから、相談員及び職員の研修に努め、相談事業を充実するとともに、あらゆる広報媒体を活用して啓発します。

防犯対策では、地区公民館等の防犯用センサーライトの設置費補助及び市職員による青色防犯パトロールを継続して実施します。

 交通安全対策では、信号機や道路表示、カーブミラーの設置などにより道路状況を改善するとともに、道路交通の安全確保のため、警察や国、県の道路管理者に交通規制や安全施設の整備、充実を要請します。

 防災対策では、防災意識の高揚とあわせて関係機関と連携した減災に努めるとともに、河川の氾濫防止のため、河川管理者にその整備を要請していきます。あわせて、加東市防災ガイドブック(洪水ハザードマップ)を活用して、危機管理の観点から局地的豪雨による災害に備え、地域の皆さま、河川管理者、市が協働で、過去に浸水被害の発生した地域から「マイ防災マップ」の作成に取り組んでいきます。

 また、緊急情報を伝達する手段として、J-ALERT(ジェイアラート)システムやかとう安全安心ネット、エリアメールに加えて、緊急情報がNHKやサンテレビのデータ放送で提供される「公共情報コモンズ」が始まりました。これらのシステムを適切に運用して、災害に強いまちづくりを進めます。

 そして、全国的に団員数が減少傾向にある消防団は、地域防災力の要といえます。このため、団員の確保とともに防寒着の貸与など処遇の改善に努めながら、消防団施設の整備、消防資機材の充実により、地域防災力の向上に努めます。
また、北はりま消防組合の消防活動については、広域化の効果が創出できるように、適切に支援していきます。

 次に、第3のプラン“やさしさ"「子育て、保健、医療、福祉」の推進プランです。

 まず、子育て支援では、アフタースクールでの重度の障害のある児童の受入れについて社アフタースクールに続き、改修工事の完了により滝野東アフタースクールで可能になります。そして、平成24年度に整備する東条東アフタースクールは、平成25年4月からの受入れに向けて準備を進めます。
  あわせて、研修等により指導員をスキルアップし、児童の健全な育成に努めます。

 また、私立保育所の施設整備については引き続き整備費を補助するとともに、障害児等保育事業では兵庫教育大学と連携し、統括コーディネーターの指導のもと、市内のすべての保育所で育成した特別支援保育コーディネーターを中心に、発達障害児等に対して同じレベルでの高度な支援体制がとれるように、スキルアップ研修等を実施します。

 児童館では、やしろこどものいえを拠点に、ひろば事業や地域でのひろば事業「飛び出せ!児童館事業」を定期的に実施します。また、小学生の企画実行による子ども映画祭や大型スクリ-ンを利用した映画上映、金環日食、金星食などの天文イベントのプラネタリウム投影での紹介を通じて、親子の交流、仲間との出会いの場を提供します。

 少子化対策では、赤ちゃん誕生祝い金をはじめ、父子家庭にも拡充した福祉年金と児童扶養手当を引き続き、支給します。

 安心して出産、育児ができ、子どもたちが健やかに成長することを願い、母子・父子手帳の交付からパパママクラス、乳幼児健診、子育て何でも相談を通じ、子育てに自信が持てるよう応援します。
  妊娠・出産支援では、妊娠期をより健やかに過ごし、安心して出産を迎えられるように妊婦健康診査費用を助成し、定期的な妊婦健診の受診を推進するとともに、妊娠期間中の妊婦の健康を増進します。
また、不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減するために、不妊治療に要する費用を1回5万円、年2回助成します。

 少子化対策の一環として開催してきた男女交流パーティーは、より多くの方に出会いの場を提供するために、平成24年度は年2回開催することとし、やしろショッピングパークBioに開設されている「北播磨出会いサポートセンター」などと連携して、参加を呼びかけていきます。

 次に、児童虐待防止対策では、要保護児童対策地域協議会の構成組織の連携体制を強化し、児童虐待の早期発見や未然防止に努めます。さらに、虐待をしてしまう親が回復するための新たな支援として、平成25年度から「MY TREE ペアレンツ・プログラム」を実施することとし、平成24年度は実践者養成などの準備を進めます。
  また、生後4か月までの乳児のいる家庭を全戸訪問し、支援が必要な家庭に対して適切なサービスにつなげるこんにちは赤ちゃん事業や育児支援家庭訪問事業を継続実施し、子育てに関する様々な不安や悩みの解消に努めます。

 また、「デートDV」に関する冊子や「DVサポートカード」によるDV防止啓発とあわせて、人権侵害の未然防止に努めます。また、DV相談窓口を設置し、月1回専門相談員によるDV相談を実施します。

 子どもの疾病予防の充実として、各種相談や健康診査などの実施のほか、細菌性髄膜炎予防のヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの任意予防接種を全額助成するとともに、中学1年生から高校1年生に相当する年齢の女子を対象にした子宮頸がん予防ワクチンの接種についても一部助成します。

 健康増進の取組では、内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)に着目した特定基本健診と各種がん検診を、まちぐるみ総合健診として引き続き、同時に実施します。
  平成24年度は、新たに肝炎対策の一環として、40歳から70歳までの5歳刻みの年齢の方について、肝炎ウイルス検診を無料とします。また、特定健康診査は、新たに腎機能のチェック項目としてeGFR(推算糸球体濾過値)を加えて健診内容を充実します。

 こころの健康づくりの推進として、市民一人ひとりのかけがえのない「いのち」を大切にする健やかな地域づくりを目指し、庁内ネットワーク会議を基盤に、こころの健康講演会の開催やこころの相談窓口の周知に努めます。

 また、疾病にかからず健康を維持するためには、感染症の予防接種を受けておくことが重要です。高齢者の季節性インフルエンザの発病及び感染を予防するため、予防接種費用を全額助成するとともに、腎機能や呼吸器機能、免疫機能に障害のある人には、肺炎球菌ワクチンの予防接種費用を全額助成し、重篤化予防につなげていきます。

 高齢者福祉・介護保険事業では特に、介護予防事業の利用者の拡大や包括的支援事業における相談業務を充実するとともに、ひとり暮らし高齢者や高齢世帯等を中心に、話し相手や見守り活動などを行う生活支援サービスを拡充します。

 認知症対策では、引き続き物忘れ相談プログラムの活用等により、軽度認知障害の正確な把握に努め、高齢者とその家族に対して、早期の段階から状態に応じた保健、医療、福祉サービスを継続的に提供できるように、関係機関等との連携強化に努めます。
また、地域回想法を取り入れた地域の自主的な研修や教室を推進し、介護・認知症予防に取り組んでいます。

 さらに、市民が高齢期を健やかで自立し、安心して暮らせるように、今定例会に上程する「高齢者保健福祉計画及び第5期介護保険事業計画」に基づき、各施策に取り組むとともに、地域包括ケアの推進に努めます。

 福祉タクシー事業では、平成23年度から高齢等を理由とした65歳以上の運転免許証返納者を対象者に加えるとともに、より利用しやすい制度とするため、年間30枚、1枚500円の利用券を、申請月に関係なく一括交付し、1回の乗車で複数枚使用できるように改正しました。
  平成22年度と比較して、現段階で利用者数が約1.4倍、利用枚数が約2.0倍と大幅に伸びていることから、平成24年度も引き続き利用促進に努めます。

 障害者福祉では、今定例会に上程する「障害者基本計画及び第3期障害福祉計画」に基づき、発達障害児の早期発見、早期支援や、支援専門員及び障害者生活支援センターの相談支援体制のレベル向上、療育事業の強化に努めます。
  あわせて、障害のあるなしに関わらず暮らしやすいまちづくりに向けて、障害についての理解を深めていただく機会や障害のある人との連携の場づくりなどに努めていきます。

 さらに、障害者自立支援法による居宅介護や短期入所、施設入所支援、就労支援、そして、障害児タイムケアなどの日中一時支援、移動支援などのサービスを実施します。
  また、訪問介護事業では、移動支援の充実や利用者の状況に応じた休日・夜間の在宅介護などに必要なホームヘルパーを派遣するとともに、今後の事業所のあり方を検討していきます。

 市民の4人に一人が加入している国民健康保険は、安心して暮らせる生活のベースラインとなっています。
  国保加入者の生活習慣病の予防のため、特定健康診査を実施していますが、平成22年度に行った「医療と保健の現状分析」の結果、健診未受診者の生活習慣病発症や重症化率が高かったことから、平成23年度に引き続き健診未受診者への受診勧奨を推進するとともに、医療レセプトデータから心臓病や糖尿病への重症化が予測される予備群の方を対象に、重症化予防のための訪問指導を実施します。

 全国的に健康診査の受診率が伸び悩んでおり、その中でもがん検診の普及啓発は、国の重要施策に位置付けられています。
  平成24年度も引き続き、40歳から74歳までの国保被保険者のまちぐるみ総合健診での胃がん検診及び大腸がん検診の個人負担を無料化することにより、早期発見、早期治療につなげるとともに、医療費の抑制を目指します。

 加東市民病院では、電子カルテをはじめ計画的に整備してきた高度医療機器について、効率的に活用し業務を簡素化することで、質の高い医療サービスに努めます。
  また、モデル運用が始まった北はりま絆ネットは、患者の診療情報を病院、診療所で共有することで、急性期から回復期、在宅復帰まで切れ目のない患者本位の医療が提供できるとともに、北播磨保健医療圏域全体のスキルアップにつながることから、すべての医療機関等の参加による全面実施が待たれるところです。

 次に、第4のプラン“ゆたかさ"「産業基盤、地域活力」の推進プランです。

 「平成22年工業統計」速報値では、加東市の製造品出荷額等は3,232億5千7百万円となり北播磨地域で第1位、県内でも第11位にランクされ、元気な加東を表している指標といえます。これは、地場産業をはじめ工業団地への企業進出などの活力による地域経済の活性化の賜物と捉えています。

 その中で、企業誘致対策では、非常に厳しい経済情勢の中にあって、昨年は市内の工業団地に新たに2社が操業、平成24年度に2社が操業を予定されるなど一定の成果が得られています。
  そして、市内の4つの工業団地は、2月末現在で44社の操業となり、引き続き地場産業をはじめ地域経済の活性化に努めながら、ひょうご東条ニュータウンインターパークの残り区画への企業誘致を中心に、兵庫県及び都市再生機構などと連携しながら進めていきます。

 また、データベース化している市内の空き用地等への問い合わせも増えつつあることから、これらの用地への企業誘致についても積極的に取り組んでいきます。
  そして、近年加東市に進出された企業と地元企業との連携、工業と商業、サービス業など異業種間の交流に加え、産業クラスター形成の支援にも取り組みます。

 雇用対策では、雇用対策事業補助金を活用し平成21年度から平成23年度まで就労支援室を設置、雇用対策を進めてきましたが、今後も雇用支援の必要性が高いことから就労支援室を継続し、人材を求める側(企業等)と求められる側(労働者等)との連絡調整を中心に、雇用体制の確立に向けて取り組みます。

 農業基盤の整備では、危険ため池などの改修に引き続き取り組み、地域防災機能の充実に努めるほか、農道や用排水路の補修、維持管理を計画的に進めます。
また、土地の実態を正確に把握するための地籍調査は、引き続き天神地区で筆ごとの境界の位置と面積を測量します。

有害鳥獣対策では、平成23年度に引き続き国の事業の活用と市の事業の推進により、地域ぐるみの被害防止対策に取り組んでいきます。

 また、緑化や美化活動では、各地区への花苗の配布や花と緑の協会と協働したイベントを通じて、多くの市民の緑化意識の高まりを誘引し、花と緑が豊かで、誰もが住みたいと感じる生活環境づくりを進めます。

 観光振興では、観光事業者から提案いただいた「加東市こだわり観光ルート」やNHK大河ドラマ「平清盛」にまつわる「源平ゆかりの観光ルート」の新設とともに、観光資源を見直していきます。
  また、兵庫県が主体となって研究を進めている「東条川疏水」の美しい景観や豊かな自然を、新たな観光資源として位置付けるとともに、環境学習に役立てるなど利活用に向けて取り組みます。
  加東伝の助グッズは、伝の助うどん、缶バッチ、ストラップなどに続く新たなキャラクターグッズの作成や、地域産品を使った特産品の研究、商品化を、市観光協会と連携しながら実施します。

 そして、道の駅とうじょうの野菜等直売所整備の支援や市道「光明寺境内線」の手すりの設置、源平合戦の舞台で登山客が増えつつある三草山山口登山口の整備研究など、将来的に大きな集客が見込める観光施設の整備などを進めます。

 また、ゴルフ振興については、市内に数多くあるゴルフ場の利用者増を目指して、加東市ゴルフ協会と連携し取り組んでいきます。さらに、ジュニア世代の育成を通じて、将来的なゴルフ人口の増加を目指すとともに、市内のゴルフ場を積極的にPRします。

 加東市夏まつりは平成23年度から、観光振興と加東市のPRを目的とした「加東市花火大会」と、市民の交流と芸能文化の保存を目的とした「加東市夏のおどり」に分けて開催しました。
  それぞれに来場者や踊り連などの参加者が増加し、満足度も高かったことから、平成24年度も同様の形態で開催することとし、イベントの内容については実行委員会で協議いただいて、盛大に開催したいと考えています。

 そのほか、平成24年度で第4回となる文化と産業が一体となった加東市秋のフェスティバルをはじめ多くのイベントを開催し、加東市の魅力を全国に広く発信することにより、市の知名度をより一層高めていきます。

 次に、第5のプラン“うるおい"「都市基盤、情報、道路交通」の推進プランです。

 まず、道路整備では、暮らしの利便性を高め、快適、安全に配慮した道路環境づくりに向けて、国の交付金事業を活用しながら、都市計画道路「滝野梶原線」をはじめ基幹道路や橋梁の整備、市民生活に密着した道路改良事業、通学路の歩行帯整備を進めていきます。あわせて、道路を計画的に維持管理するために道路パトロール車を配備するとともに、「橋梁長寿命化計画」を策定します。

 天神東掎鹿谷土地区画整理事業は、県が実施する区域内の幹線道路工事と連携して進める一連の工事や、工事完了に伴う保留地の処分開始など、事業の早期完成を目指して引き続き、組合施行事業を支援します。

 ユニバーサル社会づくり事業では、これまでの事業を検証するとともに、身近な課題に目を向けて、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めます。

 市営住宅については、適切に維持管理するとともに、公正な管理運営という観点から住宅使用料の滞納整理について、取組を強化していきます。
  また、「住宅マスタープラン及び公営住宅等長寿命化計画」は震災編を追加し、今年6月の定例会での議決を目指して、作業を進めています。

 また、都市公園については、適正に維持管理していくための「公園長寿命化計画」策定に向けて遊具を点検するとともに、旧町時代の公園台帳を整理、統合します。

 ケーブルテレビでは、緊急時の音声告知放送の統一に向けて準備を進めるほか、自主放送番組や文字放送の充実とともに、デジタル放送の特徴でもあるデータ放送を、子育て情報の提供や健診案内など生活に密着した情報発信に有効活用することにより、家庭や地域のコミュニケーションを活性化します。

 地域公共交通の取組では、既存の交通資源を有効に活用しながら、本当に困っている方への対応を検討する中で、自主運行バスの導入を希望する鴨川、米田両小学校区で早期運行に向けて準備をしてきました。
  そのうち、米田小学校区では、この2月に先進地を視察し、運行対象地区となる畑、廻渕、池之内、湖翠苑地区では、住民説明会を実施するなど、運行に向けた取組が活発化するとともに、地域自らがバスを走らそうという機運が高まってきています。引き続き、地域の方をはじめ関係機関と連携しながら、自主運行バスの今年夏の運行を目指し、取り組んでいきます。

 水道事業は、運転管理業務と料金収納等業務の民間委託体制を維持しながら、浄水場や管路施設を計画的に更新し、浄水の安定供給に努めます。特に、指定避難所が集中している市役所社庁舎周辺は、災害時に優先的に飲料水を確保する必要があることから、老朽化している嬉野配水池の代替を含めて、緊急時給水拠点施設として耐震貯水槽及び耐震配水管を整備していきます。また、秋津配水池からの配水により畑、廻渕、湖翠苑地区等の水量水圧不足を改善する事業にも着手します。
  そして、下水道事業は、より効率的な施設の維持管理のため、処理施設の統廃合に向けて積極的に取り組むとともに、市民の環境衛生の向上に努めます。

 また、平成24年4月から、水道事業会計は、県水受水費の値下げ分を還元するために水道料金を引き下げることとしました。一方で、下水道事業会計は、建設費の借入金を償還するために、一般会計からの多額の繰入金により運営している現状から受益者負担の原則に基づき、下水道使用料を引き上げることとしました。
  下水道事業会計は、依然として厳しい財政状況であるため、水洗化率の向上と経費の縮減に引き続き努めていきます。

 以上が、平成24年度における私のまちづくりの所信と主要な施策及び事務事業の概要です。その予算規模は、

一般会計   18,072,000千円
特別会計   7,617,004千円
企業会計   8,729,652千円
合計   34,418,656千円

といたしました。

(4) おわりに

 最後になりましたが、平成24年度は、総合計画後期基本計画の策定に本格的に着手しますが、第一に前期基本計画策定からの5年間を振り返り、「山よし!技よし!文化よし! 夢がきらめく☆元気なまち 加東」の実現に向けて、どの程度取り組めてきたかを点検・評価、検証することが重要であると考えています。

  また、総合計画策定において示された「地域資源の有効活用と地域経営」「市民参加」「成果志向」「“あれもこれも"から“あれとこれ"のまちづくり」といったまちづくりの方向性を今一度、認識する必要があります。

 加えて、未曾有の大災害を引き起こした東日本大震災は、これまでの人々の考え方や意識、価値観に大きな変化を与えたと考えられることから、まちづくりに対する市民の想いや志向などの変化も十分に予測されます。

 したがって、改めて加東市の現状を見つめ直すとともに、状況の変化を的確に捉えて、成熟したまちへステップアップするための次の5年間のまちづくり戦略を、市民の参画と協働、新たなパートナーシップにより、後期基本計画の策定とあわせて描いていかなければならないと考えています。

 議員各位におかれましては、格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申しあげますとともに、あわせて、上程している諸議案を慎重審議いただき、適切なご決定を賜りますようお願い申しあげます。

この記事に関するお問い合わせ先

加東市 まちづくり政策部 企画政策課
〒673-1493
兵庫県加東市社50番地 庁舎4階
電話番号:0795-43-0389
ファックス:0795-42-5055
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